所得税の確定申告 損益通算のルール
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいい、譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などが含まれます。
ただし、貸付金や売掛金などの金銭債権の譲渡は譲渡所得には含まれません。
譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
法人に対する現物出資の場合の譲渡収入金額は、出資した不動産の時価ではなく、現物出資により取得した株式や出資持分の時価となりますが、その価額が出資した不動産の時価の2分の1未満の場合は、出資した不動産の時価が収入金額とみなされます。
また、下記の場合にも資産の譲渡があったものとされます。
①法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
②1億円以上の有価証券等を所有している一定の居住者が国外転出等をする場合(2015年7月1日以後)
③地上権や賃借権、地役権を設定して権利金などを受け取った場合
④資産が消滅することによって補償金などを受け取った場合
上記①については、法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡又は限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られる)のような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいう)で資産の譲渡があったものとされます。
上記④については、収用などにより、借地権、漁業権などの資産が消滅したり、その価値が減少することにより一時に補償金などを受け取ったときは、その補償金などは譲渡所得の対象とされます。
また、譲渡所得であっても、所得税が課税されない資産もあり、具体的には、
①家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活用動産の譲渡による所得
②強制換価手続きにより資産が競売などをされたことによる所得
③国又は地方公共団体に対して財産を寄附した場合
④公益を目的とする事業を行う法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合の所得
⑤国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得などがありますので、あわせて該当されます方はご確認ください。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年1月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。