個人事業主の家賃按分
2022年度与党税制改正大綱が昨年12月に決定し、21年末に適用期限が切れるはずだった住宅ローン減税制度について、控除率を一律0.7%に引き下げた上で、新築の場合は控除期間を原則13年間に延長することで決着しました。
現行制度では、所得税と住民税から差し引ける控除率は年末ローン残高の1%。これを一律0.7%に引き下げ、控除を受けられる期間を現在の10年間から新築住宅で13年間に延長します。ただし、中古住宅は10年間で据え置きます。
控除の対象となるローン残高の上限は現在、環境に配慮した「長期優良住宅」で5000万円、その他の住宅は4000万円となっています。これを住宅の環境性能に応じて5000万円、4500万円、4000万円の3段階に分けます。環境性能が基準に満たない住宅の上限を3000万円に下げますが、こうした住宅は戸建て住宅の1割程度(19年度着工実績)に過ぎないため、実際にはほとんどのケースで上限は維持されることになりました。
控除期間の延長は、中所得層以下への配慮が狙いです。年間の控除額は原則として最大40万円、10年間で400万円となっていますが、政府の試算では年収約600万円の一般的な世帯の場合、所得税と住民税の10年間の最大控除額は300万円程度にとどまり、制度の恩恵を十分に受けられていませんでした。期間を13年間に延ばすことで中所得層が控除を受けられる総額を増やす狙いがあるそうです。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は控除規模の縮小を目指していました。一方、財務省によると、今回の制度改正では税収の増減はほとんどないとみられるといいます。自民党内からは「コロナ禍での景気刺激策として制度維持を位置づけるべきだ」「夏に参院選がある。自民党を支持する30~40代の子育て世代のために制度は必要だ」などといった声が数多く上がり、減税規模の縮小には至らなかった形です。
<情報提供:エヌピー通信社>