文科省が今年もゴルフ税の廃止要求
世界各国、キャッシュレス化が進んでいます。日本でも、Suicaやnanacoなどの電子マネーのほか、PayPayなどのスマホアプリが登場し、スマホでの支払いも利便性が高まりました。都心ならば、現金がなくても生活できるほどになっています。
ただ、これまでのキャッシュレス化は民間の企業が主体となり進めていました。その中、近い将来には、各国の中央銀行が主体となり、通貨そのものがデジタル化される日が来るかもしれません。デジタル通貨での支払いが当たり前となれば、買い物のときにレジでお札を渡す風景は過去のものとなります。また、現金を持ち歩かないので、財布の盗難被害といった犯罪もなくなるでしょう。
世界では、すでに実証実験を始めている国もあります。中国は「デジタル人民元(中国の通貨、人民元をデジタル化したもの)」の発行に向け、広東省で市民5万人が参加する実証実験を始めました。まず、市民は大手銀行のアプリ上で「デジタル財布」をつくります。大手銀行に口座があれば誰でも作ることができ、このデジタル財布から、買い物の支払いなどを行います。やり方は、日本のPayPayなどのスマホアプリと同様で、登録さえ完了すればスムーズに決済できるようになっています。
中国政府はデジタル人民元の実用化については、実証実験の結果を踏まえ、2022年の北京冬季五輪までに正式発行すると表明しています。
日本でも日銀(日本の中央銀行)がデジタル通貨の研究を進めていますが、実用化は先のことです。欧米でもあり方について研究が始まった段階です。実用化という点では、中国が大きくリードしています。
世界各国、キャッシュレス化が進む中、各国の通貨そのものがデジタル化する動きが始まっています。中でも、中国はデジタル人民元の実用化では世界を一歩リードし、2022年の北京冬季五輪までに正式に発行しようと取り組んでいます。
通貨がデジタル化すると、お釣りは不要になるため支払い業務が簡単になります。売上や経費などの集計も簡単になるうえ、盗難に遭うリスクも減ります。ただ、中国の取り組みに対して、懸念を抱く向きもあります。
理由の一つは、取引データが中国当局に筒抜けになるからです。デジタル人民元で買い物をすると、誰がいつ何を買ったか全て記録に残ります。中国当局がこれらの履歴を閲覧すれば、個人の行動を全て把握することになります。また、個人だけでなく、他国企業との取引も記録に残るので、ビジネス上の機密が漏れることにもつながります。
さらに、懸念されるのは、ドルの地位が低下することにあります。現在、世界では基軸通貨として米ドルが国際間の決済に広く用いられています。米国以外の国同士が取引した場合でも、国際決済はドルを介して行われます。つまり、国際取引の多くはドルを使わないと成立しません。こうした環境下、米国政府は敵対国周辺に対して「ドル利用禁止」を命ずると、敵対国は経済的な国際取引ができなくなり、実質経済制裁を科されることになります。現在のドルの地位が実質米国の国際的な強さの支えの一つになっています。
ところが、デジタル人民元が貿易決済などを通じて世界的に普及すればドルを介さなくても取引が可能になります。結果、ドル取引を禁じるといった金融制裁の効力が弱まることにもなります。デジタル人民元は単なる電子マネーではなく、各国の覇権にも関わる国際間の事項ともいえます。
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)