土地の国庫帰属制度スタート
2020年の相続税路線価の全国平均は前年を1.6%上回り、16年から5年連続で上昇したことが国税庁の発表で明らかになりました。21の都道府県で前年を上回っています。ただし今回の数字は新型コロナウイルスの影響が少なかった今年1月時点のもので、それ以降に地価が下落したことが明らかな土地は、減額調整の対象とすることが検討されています。
相続税路線価は一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価したもので、今年1月1日から12月31日までに相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用されます。国土交通省が毎年3月に発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされています。
2020年に相続税路線価が前年を上回った21都道府県のうち、上昇率が最も高かったのは沖縄の10.5%。東京5%、宮城と福岡4.8%、北海道3.7%が続きます。都市部や観光地の土地需要の高まりが見られる状況です。
都道府県庁所在地でみると、上昇した地域は38都市で前年から5都市増えました。最も路線価が上がったのは那覇市で、40.8%の上昇。大阪市35%、横浜市34.5%と続きます。横ばいだったのは8都市で、下落は1都市でした。
路線価が全国で最も高かった地域は、35年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)」。1平方メートル当たり4592万円と過去最高を記録しました。新型コロナ流行前のインバウンド需要や不動産投資熱の高まりが影響したとみられています。
今回の数字は新型コロナの感染拡大の影響による地価の下落分は反映されておらず、相続税や贈与税の計算の際にそのまま適用すると、納税者の負担が実態と乖離した重いものとなるおそれがあります。そのため国税庁は、路線価を減額修正できる仕組みを取り入れることを検討しています。
<情報提供:エヌピー通信社>