法人税額から控除される特別控除額の特例繰越とは
◆新型コロナの影響による役員給与の減額
新型コロナウイルス感染症の影響よる会社経営へのインパクトは、日増しに大きなものとなってきました。
中小企業では、どうにか利益を出したいとき、資金繰りに窮したときに用いられる対策の一つが「役員給与の減額」。今回の状況下での減額が税法上認められるものなのかどうなのか、皆様の関心事だと思います。
法人税の取扱いでは、役員給与は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」以外の給与は、損金不算入とされ、年度の途中で「定期同額給与」を改定する場合には、①定時株主総会による通常改定、②臨時改定事由による改定、③業績悪化改定事由による改定によらなければ、損金不算入とされる金額が発生します。
◆「Q&A」で新型コロナ関連事例を例示
ここで「業績悪化改定事由」とは、法人の経営が著しく悪化したこと、その他これに類する理由とされています。「著しい経営悪化」は、単なる赤字では認められず、悪化のレベルが「著しい」かどうかの認定で、税務署と揉める場合がよくあります。「Q&A」では、次の2つの事例を掲載しています。
◆「やむを得ない」「客観的に悪化は不可避」
1.既に業績悪化(イベント請負業の場合)
イベント開催の中止要請に従い、数か月先のイベントが全てキャンセル。予定した収入がなくなり、家賃・人件費を支払うことも困難となったため、年度の中途で役員給与の減額を行うこととした。
この場合、既に経営数値や資金面が著しく悪化しているため、(取引銀行や株主との関係からも)「やむを得ず」減額しなければならない状況にあるのであれば、「業績悪化改定事由」に該当するとしています。
2.悪化見込(主要売上先が観光客の場合)
新型コロナの影響で、インバウンド顧客が激減。営業時間短縮、社員の出勤調整で対応するが、更なる経費削減も必要な状態。過激なコストカットは困難なため、まずは役員給与の減額から検討している。
この場合、売上などの数字がまだ悪化していなくても、役員給与減額などの経営改善策を講じなければ、急激に財務状況が悪化する可能性が高いという「客観的な(経営悪化不可避の)状況」にあるときは、「業績悪化改定事由」に該当するとしています。