源泉徴収が必要となる支払いとは
新型コロナウイルスの流行を受けて要件が緩和されていた「雇用調整助成金」が、4月1日からさらに拡充されました。休業を命じた従業員に支払う休業手当の最大9割を国が負担します。雇用保険の被保険者でない従業員も対象に含めるなど、リーマンショック時を上回る措置で、中小企業の事業存続を支援する構えです。
雇用調整助成金は、景気の変動や産業構造の変化などの経済的な理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に雇用調整を実施して従業員の雇用を維持した時に受け取れる助成金のこと。「休業」、「教育訓練」、「出向」の3つのタイプがあり、新型コロナウイルスの流行を受けて、特に「休業」タイプの利用が増加しています。
同助成金の要件は2月にも緩和されていました。原則は事前提出となっている休業等計画の事後提出が可能となり、前年と売上を比較する期間が3カ月から1カ月に短縮されました。さらに直近3カ月に解雇がないなどの雇用状況を問わず、事業所設置1年未満の事業主も対象になりました。もっとも2月の時点では、対象が「中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の1割以上を占める事業者」に限られていましたが、その後、新型コロナウイルスが国内でも感染拡大したことから、対象となる事業者を「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」とし、実質的に拡大しました。
しかし新型コロナウイルスの流行が長期化しつつあることから、今回のさらなる拡充に踏み切りました。4月からは、中小企業が休業中の従業員に支払う休業手当について、これまでは1人1日8330円を上限として3分の2を助成対象としていたところを、5分の4にまで引き上げました。さらに、派遣などの非正規労働者や外国人技能実習生を含めた全ての従業員の雇用を維持した企業は、助成対象を10分の9まで引き上げています(大企業は4分の3)。休業等計画の事後提出についても、これまで5月末を提出期限としていましたが、6月末まで延長し、年間当たりの支給上限日数も原則の100日に加えて4月1日から6月30日までの期間も追加しました。助成対象となる従業員は、雇用保険被保険者でない人も含まれます。
助成を受けるための要件は、「売上高などが1カ月で5%以上が低下している」こととなります。またこの生産指標の要件を満たせなくても、3カ月で売上高などが10%以上低下していれば、3分の2の助成は受けられる点も覚えておきたいところです。