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国税庁は、2018事務年度(2018年7月から2019年6月までの1年間)に海外投資者等を対象とした実地調査状況を公表しました。
それによりますと、2018事務年度において4,375件(前事務年度4,616件)の実地調査を実施し、総額約849億円(同977億円)の申告漏れ所得を把握、1件平均で1,941万円(同2,166万円)となりました。
上記4,375件を取引区分別にみてみますと、「海外投資」(預貯金等の海外での蓄財を含む海外の不動産や証券などに対する投資)が全体の約37.0%の1,618件、「輸出入」(事業での売上や原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引)が同10.2%の447件、「役務提供」(工事請負やプログラム設計など海外において行う、労力・技術等の第三者に対するサービスの提供)が同7.9%の344件、海外で支払いを受ける給与や贈与(親族に対する海外送金等)など海外取引に係るもので上記の取引に該当しない「その他」が1,966件となりました。
調査事例では、タックスヘイブン対策税制上、適用除外要件のうち事業基準を満たさず、雑所得課税を行った事例が挙がっております。
調査対象者Aは、軽課税国において外国関係会社X社を主宰しているところ、部内資料等から、X社が国内の複数の事業者から、多額の国外からの送金を受領していることが判明し、送金内容は、著作権の使用料と想定されたことから、タックスヘイブン対策税制の適用の可否を確認するため、調査が行われました。
調査において取引の内容を確認したところ、X社の主たる事業は著作権の提供であり、タックスヘイブン税制の適用除外基準のうち、事業基準を満たしていないと認められたことから、X社の課税対象金額をAの雑所得に係る収入金額とみなして課税を行いました。
Aに対しては、所得税4年分に係る申告漏れ所得金額約2億2,100万円について、追徴税額(加算税含む)約1億1,800万円が課税されました。
国税庁では、経済社会の国際化への適切な対応のため、海外投資を行っている個人や海外資産を保有する個人などに対し、積極的に調査を実施しております。