所得税の確定申告 損益通算のルール
国税庁は、2018事務年度(2018年7月から2019年6月までの1年間)の個人に対する所得税調査状況を公表しました。
それによりますと、前事務年度(62万3千件)に比べて1.9%減の61万1千件行い、うち37万4千件(前事務年度38万4千件)から9,041億円(同9,038億円)の申告漏れ所得を見つけました。
その追徴税額は、同0.1%減の1,195億円(同1,196億円)で、1件平均148万円(同145万円)の申告漏れに対し17万円(同17万円)を追徴しました。
実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前事務年度に比べて0.8%増の5万件を実施、うち4万4千件から同3.1%増の総額5,236億円の申告漏れ所得を見つけ、同1.8%増の903億円を追徴しました。
また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前年度比1.0%増の2万3千件行い、うち1万7千件から同3.2%減の788億円の申告漏れを見つけ、59億円を追徴、1件当たり平均申告漏れは336万円となりました。
一方、簡易な接触は、同2.3%減の53万7千件行い、うち31万3千件から同4.0%減の3,017億円の申告漏れを見つけ233億円を追徴、1件当たりの平均申告漏れは56万円となりました。
実地調査トータルでは、前事務年度比0.9%増の7万4千件の調査を行い、うち6万1千件から同2.2%増の6,024億円の申告漏れを見つけ、961億円を追徴しました。
実地調査件数は全体の12.1%ですが、申告漏れ所得全体の約66.6%を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方で、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されております。
また、業種別1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種は、風俗業が2,685万円、キャバクラが2,278万円、経営コンサルタントが2,045万円と続きました。
近年の所得税調査の特徴は、高額・悪質と見込まれるものを優先して深度ある調査(特別調査・一般調査)を重点的・集中的に行う一方で、実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による簡易な接触で済ます調査方針だと思われます。