止まらない社長の〝高齢化〟
国税庁は、2018年分の所得税確定申告における給与所得者の特定支出控除の適用状況を公表しました。
それによりますと、同特例を適用した納税者は1,704人(適用件数3,154件)で、前年より人員で86人、件数で163件増えました。
同特例は、1987年度改正で創設され、1988年分の所得税から適用が始まりましたが、当初は特定支出の範囲が狭く限定されていたことや給与所得控除額全額を超えなければ適用されなかったことから、適用者はほとんどいませんでした。
しかし、資格取得費への弁護士・税理士等の追加や勤務必要経費が新たに適用対象となった2013年分に約1,600人と急増し、以後1,000人を超える適用者が出ております。
特定支出控除の特例とは、給与所得者が6項目の特定支出をした場合、その年の特定支出の合計額が、その年中の給与等の収入金額に応じて適用判定の基準となる金額を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引ける制度をいいます。
同特例を受けるためには、特定支出に関する明細書及び給与の支払者の証明書を給与所得の源泉徴収票とあわせて確定申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付又は申告書を提出する際に提示する必要があります。
2018年分の特定支出の主な内訳は、職務に直接必要な技術や知識を得る目的で研修を受けるための「研修費」が546件、職務に直接必要な資格取得のための「資格取得費」が581件、単身赴任者などが勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な「帰宅旅費」が531件となりました。
なお、2018年度税制改正において、特定支出控除が見直され、特定支出の範囲に職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを追加したことや単身赴任者の帰宅旅費について、1ヵ月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とする制限を撤廃するとともに、帰宅のために通常要する自動車を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の料金が追加されます。
この改正は2020年分以後の所得税から適用されますので、該当されます方はご確認ください。