現物配当(現物分配)の税務
政府は、今年10月に予定されている消費税率10%への引上げに伴う価格設定のガイドラインを公表しました。
それによりますと、「消費税還元セール」など消費税と直接関連した形での宣伝・広告はこれまでどおり禁止としますが、「10月1日以降2%値下げ」などの表示で値下げすることは認めるとしました。
価格の表示方法については、税込価格の表示(総額表示)を義務化している消費税法の特例として、「税抜価格を表示できる」との現行の特例措置に変更はありません。
表示する価格が税込価格と誤認されないために、個々の値札等において「○○○円(税抜価格)」や「○○○円(税別)」など税抜価格であることや、「当店(本チラシ)の価格は全て税抜表示になっています」など一括して税抜価格であることを明示すればよいとしております。
また、消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うなど経営判断に基づく自由な価格設定を行うことを何ら妨げるものではないとして、これまで抑制を求めてきた消費税引上げ分以上に値上げする「便乗値上げ」も容認する模様です。
これは、企業の経営判断で柔軟な価格設定を可能にし、増税前後の駆込み購入や反動減による消費の急激な落込みを防ぐ狙いがあるとみられております。
指針では、「消費税は、事業者ではなく、消費者が最終的には負担することが予定されているため、消費税率引上げ後に小売事業者が値引きを行う場合、消費税と直接関連した形で宣伝・広告を行うことは禁止されているが、これは事業者の価格設定のタイミングや値引きセールなどの宣伝・広告自体を規制するものではない。例えば、『10月1日以降○%値下げ』、『10月1日以降○%ポイント付与』などと表示することは問題ない」と明示しております。
中小・小規模小売事業者に対しては、今年10月の消費税率引上げ後の一定期間に限り、ポイント還元といった新たな手法などによる支援などを行うことにより、中小・小規模小売事業者は、消費税率引上げ前後に需要に応じて柔軟に価格設定できる幅が広がるようになりますが、事実に反して、増税前に「今だけお得」といった形で駆込み購入を煽る行為は、景品表示法に違反する可能性があると警告しております。
(注意)
上記の記載内容は、平成31年3月15日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。