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伊藤惠悦(いとうけいえつ) / 税理士

伊藤輝代税理士事務所

コラム

株式の取得費がわからない場合は?

2019年3月14日

テーマ:その他

コラムカテゴリ:ビジネス

 個人投資家のうち、相続などで取得した株式を売ったというケースがあります。
 年末調整で所得税の納税が完了している給与所得者であっても、給与所得等以外の所得が、「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」の譲渡益を含めて20万円以上の場合等は確定申告が必要ですので、該当されます方はご注意ください。

 株式を売却した場合の所得金額は、譲渡価額-(取得費+委託手数料等)で計算しますが、所有期間が長いほど実際の取得費がわからないケースは多く、取得費(取得価額)がいくらになるのか疑問に思うところです。
 取得費は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金ですが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれる)のほか、購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含まれます。
 譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められます。

 例えば、ある銘柄の株式等を500万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5%相当額である25万円を取得費とすることができます。
 これは、実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合にも、同様に認められます。

 また、国税当局が認めた実際の取得費を確認する下記の合理的な方法もあります。
①証券会社などの金融商品取引業者等から送られてくる取引報告書等
②取引した金融商品取引業者等の顧客勘定元帳(10年間保存義務あり)
③記帳や預金通帳などでの本人の手控え
④上記がなければ、名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定するなどがあります。
 なお、相続(限定承認に係るものを除く)、遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)又は贈与により取得した場合は、被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぎます。

 さらに、相続で取得した上場株式を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算することができる「取得費加算の特例」がありますので、該当されます方は、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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