2年ぶりに法人所得が増加
2017年度税制改正において、役員給与の損金不算入制度の3類型のいずれも見直しがされました。
それによりますと、3号給与の利益連動給与が業績連動給与に改められ、株価などその算定指標が拡充されたほか、2号給与の事前確定届出給与も、所定の時期に確定した株式や新株予約権が加わりました。
上記はおもに大企業向けのものですが、中小企業のほとんどが利用している1号給与の定期同額給与も、損金不算入制度になって、初めて見直されました。
具体的には、所得税や住民税及び社会保険料の源泉徴収等をされた後の手取り額の金額が同額である定期給与がその範囲に追加されております。
定期同額給与とは、法人税法では「その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与」とされており、今回、2017年度税制改正法の政令でその詳細が示されました。
政令改正では、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額(所得税や住民税、社会保険料)を控除した金額が同額である場合、当該定期給与の当該支給時期における支給額は、同額であるものとみなすとする規定が設けられました。
これまで額面の支給額が同額でなければ定期同額給与の対象とはならなかったのが、これからは額面だけでなく、源泉徴収等の後の額が同額であれば定期同額給与とみなされます。
厚生年金保険料率は2005年度以降、2017年度まで毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げられ、同保険料率は毎年9月分から変更されておりますが、この前後で給与の支給額が同額ですと、手取り額が減少してしまいます。
しかし、改正後の規定を適用しますと、社会保険料を含めた源泉徴収等が行われた後の額を同額としても定期同額給与とみなされます。
上記の改正は、4月1日以後に支給又は交付に係る決議(決議がない場合はその支給又は交付)をする給与について適用されますので、ご注意ください。
(注意)
上記の記載内容は、平成29年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。