その子の内側の体験の世界67
「その子の内側の体験の世界」第59回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子にはたらきかける」16
しつけと意志の発達
しつけは直接的には、自分でお手洗いが使えるとかスプーンや箸を使いこなせる、衣類の脱着ができるなど「身辺自立」を目的としています。が、それだけではありません。しつけを通して幼児が、世界にはいろいろな約束やルールがあって、それはたいせつなものだという体感とその約束やルールに従って、欲求や衝動を自分でコントロールする力を身につけるところに精神発達上の大きな意味があります。
排泄の欲求が起きてもオマルに座るまでは抑える。空腹でも食事の時間まで待つ。目の前にご馳走があっても「いただきます」の挨拶が済むまでは食欲を抑える。などコントロールはこうした抑制から始まります。しかし、抑制がコントロールではありません。一旦オマルに座ったらがんばって排泄に努めます。「いただきます」をしたら食べることに力を注ぎます。というように、衝動や欲求を満たす方向にコントロールが向かうことがたいせつなのです。衝動や欲求は、必要があって生じるものなのです。
次回に続きます。