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これからの子どもたちへの教育について

吉田洋一

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テーマ:子どもたちへのエール

 これからの子どもたちへの教育は、「個別最適な学びと協働的な学び」ですと以前に述べました。
 それは、「教える教育から環境を整える教育へ」の転換ですと述べました。
 その要点は、すべての子どもは生まれながらにして「有能な学び手」であるという理解です。
 適切な環境に出会えば、自ら進んで学びます。
 もう一つは、教師が一方的に口頭で教え込む一斉伝達型や教師が情報の伝達者やゲートキーパー型から脱却した教育のあり方、生徒も教師も等しく知識データベース等にアクセスできる教育です。と述べました。
 教師の仕事は、学習環境整備と足場架けです。徹底した情報開示と見とりと支援が必要です。生徒たちはタブレット端末などから必要な情報を探し出し、課題に照らして、自分なりの答えを探し出す「自立した学習」が見出せるのです。
 同中央教育審議会は、提言において個別最適な学びとは指導の個別化と学習の個性化の観点から整理され、このうち指導の個別化とは、子ども一人ひとりの特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどとされています。
 また、学習の個性化とは、教師が一人ひとりに応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子ども自身が学習を最適となるように調整することとされています。
  こうした学びのあり方は、発達障がい児や特異な才能のある児童生徒の学びを考えていくうえでも当てはまるものです。
 このため、多様な一人ひとりの児童生徒に応じた教育の在り方をいかに実現していくのかということの延長線上に、発達障がいや特異な才能のある児童生徒への支援策を考えていくことを基本的なスタンスとして検討を進めていくことが適切です。
 また、協働的な学びとは、多様な他者との協働的な学びを一体的に行うことによって、自分とは異なる感性や考え方に触れ刺激し合いながら、学びを深めていくという視点は、特異な才能のある児童生徒にとっても重要であって、成長に不可欠である。と説きました。
 「障がいのある子も、特異な才能のある子も、通常学級でインクルージョンの方針で教育していこうというのが世界的な潮流です。
 その上で、理数分野であるとか、表現力や創造力といった分野で特定の才能を伸ばすなどの目的に沿ってプログラムを提供する。才能を識別、選抜する方法もIQなどどこでも一定の数値で線引きするのではなく、個別プログラムごとに要求される特定の力を評価し、どの子も個別最適な学びの中でそれぞれの能力を伸ばすことができるのです。

 すべての子どもは幸せになる権利を有しています。教室における子どもの多様性は、いよいよ高まっています。子どもたちの基本的人権としての「発達権」や「学習権」を十全に保障する必要があります。学習の弊害は子どもの側にあるのではなく、カリキュラムや学習環境の側にあるのです。
 なぜそれが言えるかですが、教師の皆さんにこれからお話することに気がついてほしいことがあります。皆さんは学区制度により毎年学校に子どもさんがくることを前提にしていますが、仮に学区が取り外されたら、今のままでも自分が所属する学校に子どもたちが入学してくれるでしょうか?児童生徒が誰もいなくてお給料がもらえるのでしょうか?お分かりになりましたか。教育は子どものためにあるのです。
 教育は子どものためとはどういうものでしょうか?
その答えは既に説明しました。どういうものだったでしょうか。それは、
「多様な一人ひとりの児童生徒に応じた教育の在り方をいかに実現していくのかということ」と「それからその延長線上に、発達障がいや特異な才能のある児童生徒へも含めて支援策を考えていくこと」なのです。
 つまり、「子どもたちのひとり一人の伸びしろ値を高める教育」が求められているのです。
 まだまだ、知識の優秀の者からの序列で、またその他者との比較で、定型発達の相違で教育をしているのが現状でしょうか。

 もう一つ、違う観点からこれからの教育を紐解きます。
 11月14日「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」が開催され、「勤務実態調査で明らかになった長時間勤務の実態やいわゆる『教員不足』の発生など、教員を取り巻く環境は依然として厳しい環境」というアピールを採択し、また、来賓としてあいさつをした文科相は、教師が安心して「本務」に集中できる環境づくりの希求を呈しました。
 長時間勤務の実態には、勝利至上主義のブラック部活が多く取り上げられています。なぜ、中学校教育で勝たなければならないのでしょうか。また、勝ちを教えなければならないのでしょうか。それは、教える側がスポーツを勝ち負けだけの競技として指導しているからです。
 つまり、大半は教師という顧問が勝ちたいだけなのです。このブラック部活の時間を削減するだけで、長期間勤務が解消されます。そして教員不足をアピールしていましたが、このブラック部活の時間を学校の「本務」に充当することができるのです。
 また、教師の中には教師だけの組織を作り、土日祝日に生徒を大会に参加させるという、土日祝日の部活動の在り方や働き方改革に逆行しているものもあります。このようなものは、即刻廃止すべきです。「本務」でないものを「本務」化している現状を文科省は調査すべきと考えます。
 もう一つは、中体連は各競技会から脱退すべきと考えます。中学校時代は勝ち負けの競技よりも、スポーツは体育として学習することに意義があるのです。
 子どもたちは競技スポーツに憧れます。そして、上手くなりたいという優越性を持ちたいと考えます。この優越性を中学校の顧問は、前述のとおり相手に勝つが優越性だと、つまり優越性は第三者との比較と考えていますが、けっしてそうではありません。
 その答えは、自分のスポーツ技術の伸びしろ値が昨日より今日、今日より明日に向上することを優越性といいます。相手に勝つことではなく、相手より技術を向上することを優越性といいます。

 つまりは、部活動も学校の学習も、相手と対比するものではなく、子どもたち自身の技術の向上と学習の理解度を昨日から今日、今日からから明日へと伸びしろ値を上げていくことが「勝つ」なのです。
 これも、友だちとの比較ではありません。学校の学習のマニュアルをそのまま一斉に教えることや部活動での自分の型や組織の型をそのまま教えることが指導とはいいません。そのような指導では、子どもたちの伸びしろ値は高まらないのです。
 おわかりになりましたでしょうか。すべて、子どもたちの自分自身の伸びしろ値を高めることなのです。
 学校の教師であろうが、部活動の指導者であろうが、クラスの全ての子どもや部活動の全ての子どもが、昨日より今日、今日よりも明日に向かって伸びしろ値を高めてこそ、教師であり指導者なのです。
 これが、これからの子どもたちへの教育なのです。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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