その子の内側の体験の世界17
その子の内側の体験の世界」第10回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」9
○精神発達の基本構造
前回で、ネズミが世界を知ることとは「認知的」に知ることですが、人間が世界を知るとは「認識的」に知ることなのです。
認識的なとは、理解の発達とか知的な発達と言い換えることができます。
同じく、「関係の発達」も人間にとっての世界は何よりもまず、人間同士の社会的な関係の世界という意味で「社会性の発達」と言い換えることもできます。
このように、認識の発達は関係の発達に支えられて進むことになります。
認識とは、世界を感覚器官が知覚したとおりにとらえるのではなく、社会的や文化的な「意味」や「約束」によってとらえ直すのです。
このような社会的・文化的なとらえ方を単独で身につけるのは不可能です。
どのようにとらえるかですが、すでにそのようなとらえ方を共有している大人たちとの密接なかかわりを通した学習によって、初めて可能になるのです。
一方的に思えるかもしれませんが、赤ちゃんが胎児のときからの声掛けや肌へのスキンシップ(触れ合い)が、関係の発達を促進させているのです。
その子が認識できなくても、認知している時期から子育ては始まっているのです。
つまり、「関係の発達」が認知から「認識の発達」を助長しているのです。
次回に続きます。