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記憶2

吉田洋一

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テーマ:運動と脳

 感覚器からの各種情報を記憶として保持するには、ニューロン間をただ伝わるだけではなく、回路に何らかの変化が起こる必要があります。それは、シナプスに変化が起き、ある程度維持されることを「シナプスの可塑性」といい、記憶研究の重要な概念になっています。
 シナプスの可塑性についてよく研究されているのが「海馬での変化」です。
 最初に見出されたのが、海馬の神経回路における「長期増強(LTP:Long-Term potentiation)という変化です。長期増強とはシナプスでの伝達率を増大させることで、その方法としては「受容体の数が増える」「神経伝達物質が増える」「シナプスの構造が変わる」の3つが考えられます。最も多いと思われる方法は、受容体を増やすことです。
 神経伝達物質を受け取る「シナプス後膜」には、実は休止状態の受容体があります。NMDA(N-Methyl-D-Aspartate)というこの受容体は、通常外部から物質を受容する孔がMg2+で塞がれています。しかし、信号が繰り返し届くとMg2+が外れ、受容体が増加します。
 さらに信号が続くと、L-LTP(Late-face LTP:超長期増強)と呼ばれる長期増強も起きます。信号が神経細胞の遺伝子に伝わり、mRNA(messenger RNA)というたんぱく質の設計図を発現させ、必要なたんぱく質が合成されます。すると、シナプスの強化や新しいシナプスの形成により、さらに強力な信号増強となります。
 シナプスの可塑性には他にも、「長期抑圧」や「シナプスの発芽」などが考えられています。
 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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