運動で脳は変わる2
記憶とは、新しい事象を覚えて保持し、必要なときに引き出す働きをいいます。記憶にも多くの種類があり、いくつか分類方法があります。その一つは記憶の内容による分類です。
例えば、意識を伴い、覚えた知識や過去の体験などを言葉やイメージによって表現できる「陳述記憶(宣言的記憶)」とそうではない「非陳述記憶(非宣言的記憶)」に分ける分類があります。
陳述記憶には、「意味記憶」と「エピソード記憶(出来事記憶)」があります。意味記憶は言葉の意味や固有名詞などの一般知識で、エピソード記憶は個人的な経験や出来事です。
非陳述記憶には、自転車乗りやギター演奏など意識を伴わない技術や癖などの「手続き記憶」があります。
私たちは、目や鼻や耳などの感覚器から常に膨大な情報を得ていますが、特に意識しない限り、1秒程度で情報は消失します。これを「感覚情報保存(感覚記憶)」といいます。
一方、何らかの理由で注意を向けた事象は記憶が保存されます。ただ、例えばメモに書かれた電話番号をパッと見てダイヤルすると、電話をかけ終えれば番号を忘れてしまいます。このような15秒から30秒しか保持できない記憶を「短期記憶」といいます。
電話番号も、何度も同じ番号にかけていると、やがては覚えてしまいます。このように短期記憶が何度も繰り返されることにより、分単位、あるいは年単位で長期に記憶することを「長期記憶」といいます。
このように短期記憶や長期記憶には、脳内の複数の部位が複雑に関わっていることをご理解ください。
次回に続きます。