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脳に良い運動とは2

吉田洋一

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テーマ:運動と脳

 ウォーキングが、なぜ脳に良い運動なのでしょうか。
 前コラムで説明しましたが、この60歳の被験者のデータに加え、若い被験者の実験データでも、やはり同様の結果が得られました。身体をよく動かした被験者の脳は、明らかに若返っていました。
 1年間、加齢が全く進んでおらず、それどころか生物学的にも強化されており、とりわけ前頭葉と側頭葉が強く連携していました。確かに、その領域は加齢の影響を最も受けやすいところです。そこに改善がみられたということは、加齢の進行が止められたことになります。
 進行が止められただけではなかったのです。それは、定期的なウォーキングが実生活にもプラスの効果を及ぼす脳の変化をもたらしたことです。心理的テストの結果、「実行制御」と呼ばれる認知機能(自発的に行動する、計画を立てる、注意力を制御するといった重要な機能)が、ウォーキングのグループにおいて向上していたことがわかりました。
 要するに、身体を活発に動かした人の脳は向上し、加齢による悪影響が抑制され、むしろ脳が若返ることがわかりました。
 脳科学の研究が進んだことにより、脳の機能を高めるには戦略的に運動する方が、パズルや脳トレよりはるかに効果があることを証明しています。驚いたことに、脳は頭を働かせようとするより、身体を活発に動かすことでこそ威力を発揮する器官なのです。その戦略的な運動は、身体を活発に動かすのであればどんなことでも有効であり、その一歩一歩が脳にとって価値があります。いつ、どこで、何かをするかは大したことではないのです。
 次回に続きます。
 

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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