運動で脳は変わる2
本来、運動と脳の関係であれば、カテゴリは「老化防止や認知症の防止」です。が、カテゴリを子育てや教育とするのは、子どもたちへの「運動と脳の関係」を解説するためです。子どもたちへの運動と脳の関係につきましては、後で解説します。最初に人間への効果について説明します。
マイオカインの中で、脳にプラスの効果を及ぼすと言われているのが、「アイリシン」や「カテプシンB」です。これらは脳内で「BDNF」と呼ばれる脳由来神経栄養因子の発現を促進しているのです。BDNFは記憶を司る海馬の神経を増やす「神経新生」を起こすのです。運動すれば神経新生が期待でき、加齢による脳の萎縮を抑えることや発達障害児の症状の抑制にもつながります。
激しい運動をすると筋肉にたまる疲労物質と考えられてきた「乳酸」も、今ではマイオカインの一種とされています。乳酸は脳の中でBDNFを増やす効果をもっていることが報告されています。
マイオカシンを効率的に分泌し、脳を健康に保つにはどんな運動をすればいいのかですが、海馬の神経新生を促すには、50から75パーセントの運動強度で有酸素運動を行うことが効果的だということです。運動強度とは、運動の負荷を数値(%)で表したもので、最大心拍数を基準として計算される「目標心拍数」を目安にし、週に2から3回の頻度で1回30分程度の運動をするものです。
次回に続きます。