認識の発達と関係の発達②
最初に、保護者の皆さんや学校の先生方にご理解いただきたいのです。
<認識は関係に支えられる>
人間が世界を知るとは「認識的」に識ることです。「理解の発達」や「知的な発達」と言い換えることができます。一般的に「知能」と呼ばれているものは、概ねこの「認識」の獲得能力(ポテンシャリティ)ないし獲得水準(アチーブメント)と考えていいと思います。
同じく「関係の発達」も、人間にとっての世界は何よりもまず人間性同士の社会的(共同的)な関係の世界だという意味で「社会性(共同性)の発達」と呼ぶことができます。
このため、認識の発達は、関係の発達に支えられて進む構造をもつことになります。認識とは、世界を感覚器官が知覚したままにナマでとらえるのではなく、社会的・文化的な「意味」や「約束」によってとらえ直すことだからです。そのような社会的(共同的)・文化的なとらえ方を単独で身につけるのは不可能で、すでにそのようなとらえ方を共有している大人たちとの密接な関りを通した学習によってはじめて可能になるのです。
※参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著