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診断には意味がある

吉田洋一

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テーマ:発達障害とは

 引き出しに入れなくても理解や支援は可能です。とはいえ、引き出しが無用というわけではありません。何のための診断かがたいせつなのです。
 一つ目ですが、医療はさまざまな行政制度を担っています。そして行政は必ず診断を求めます。保険診療制度も医療福祉制度・障害福祉制度もその「ひと」に対するサービスではなく、その「病気(障害)」に対するサービスのかたちで制度化されているためです。病名(障害名)の提示、すなわち診断が必須条件になります。サービスが与えられるか否かは病名(障害名)次第の場合も少なくありません。民間のシステム(医療保険、休職・休学、休業補償など)もこれに準じています。教育でも診断名がないと「特別支援教育」を受けられないのが日本の現行制度なのです。
 二つ目ですが、人間には「名前」を得てはじめて安心して落ち着けるところがあります。私たちは世界を意味(概念)によってとらえる認識的な体験のしかたを身につけ、いわば「言葉の世界」を生きています。ものごとには「名前」があるという気づきから言語が、ひいては認識がはじまります。そのため、何ごとにつけ「名前」が与えられてはじめて「わかった」という安心が得られるのです。それが私たちの世界の知り方のカタチなのです。
 

※参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著

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専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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