精神発達の道筋
<学業不振と支援>
2 自閉症スペクトラム領域の子
知的なおくれのないアスペルガー症候群領域に入る児童生徒のうちに、知力にみあわない学業不振をもつ子がいます。理由はその子によってちがいます。大抵の子は学校へ上がれば親や先生が「勉強しよう」といい、周りもしているので理屈抜きに勉強を始めます。しかし、アスペルガー症候群領域にある場合、次のような子がいます。
・自分なりの納得がないと勉強には関心をもてない子
・勉強には関心を向けても、ひとにならうより自分で考えるため、読み書きのしかた、数式の解き方などがオリジナルな自己流で、能率が悪かったり内容が難しくなるにつれ、立ちいかなくなる子
・勉強内容には知力と関心さえあれば伸びるものと社会的な体験や対人交流の蓄積がないと伸び悩むものとがあり、後者に極端なほど不振な子
・知覚の混乱性の問題から、教室がつらかったり、授業への集中やノート取りに苦労している子
これらそれぞれに対して、すでに述べた自閉症スペクトラムへの配慮や支援と重ね合わせた学習支援が必要となります。
参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著