頭痛の漢方
まちかど糖尿病指導薬剤師の笠原友子です。
薬局店頭で、患者が自分でできる
肥満・糖尿病対策にとりくんでいます。
この中で遭遇したことが、
のちに他の方の再発作を未然に防ぎ、
大事に至らずに済んだ例があるので紹介します。
『健康ダイエット』と銘打って
肥満対策を始めたころのこと
大きな梗塞はないが下半身が不自由になり
両手の4点支持杖でからだを支えて、やっとのことで歩いて
職場を休職中の方が相談に来られました。
この方には肥満傾向があったため
再発作を防ぐ意味もあって
まず減量の指導をしていました。
一日の体重変動幅が5㎏にもなる人達がいる!
この頃から、大分大学坂田先生の行動療法を実践指導していて
測定した体重をもとに日々の行動習慣に
気づいていただく作業を繰り返していました。
するとある日、驚く状態が出ました。
普通、1日の体重の増減幅は1~2㎏なのですが
1日の増減が、3-5㎏にもなる日が
月に何度も現れていたのです。
それも『何の自覚症状もなく』です。
体重が増えるということは
体液量も増えています
それも1-2日の間に数キロも増える体重は
むくみ、水です。
組織の中だけでなく、血管の中にも水が増えていれば
血圧は上がり、血管は圧力を受けて
糖尿病や動脈硬化でもろくなっている血管は
破綻しやすくなります。
すぐに医師への受診を勧めるとともに
急激な体重上昇、血圧上昇につながりやすい
生活習慣をお伝えしたところ、
まさに言ったとおりの生活習慣が存在していました。
危機一髪!と医師にも言われたようで
受診日にすぐに入院、翌日手術が行われたそうです。
誰にでも起きがちな
誰でも行いがちなこの小さな習慣が
時に命取りになりうる方があるのだと実感した一瞬でした。
その後、同じことが他の方にも生じ
お願いして拙著に掲載させていただいていますし
(拙著p211-216参照)
地元の大学が実施している住民調査の時にも
血圧測定を担当していると
1月末の頃、何の自覚症状もなく
同じ状態の方が何人も現れました。
ところが体重増加にも血圧上昇にも誰も気づかず、機械
血圧測定機の故障ではないかと口々に指摘したほどです
高血圧がサイレントキラーと言われるゆえんと
背筋が寒くなったものです
急な体重増加を起こしやすい小さな習慣
よく知られたことですが、
糖質を食べると、血糖値が上がり
インスリンが分泌されて、上がった血糖値は下がります。
このインスリンの作用というのは
血糖値を下げるだけではありません。
肝臓にエネルギーを蓄積したり、
脂肪細胞にエネルギーを蓄積したりするほか
カリウムを尿中排泄しやすくし
ナトリウムの排泄を抑える
つまり
必要以上に塩分を体に蓄えるので
それを薄めて塩分濃度を一定にしようと
必要以上に体は水を貯え、体重は増加し、
血圧も上がることになります。
先にご紹介した住民調査のあった1月末と言うと
この地方には寒餅(かんもち)をつく習慣があって
家々でもちをついては、間食に食べていました。
それも、この地方では餅に塩を入れる習慣があったので
むくみをさらに助長したようです。
しかし・・・
5㎏もねぇ。
とだれもが思うでしょう。
不思議ですが、こんなに増えているのに、
自覚しておられませんでした。
命拾いとなったたった一つの毎日の行動
それは、起床直後の体重測定です。
トイレに行くまでに測ります。
それを毎日記録するだけです。
このたった一つの習慣が命拾いになりました。
湿気の多い時期は、ただでさえ体がむくみやすい方が増えます。
小さな習慣で、再発作を防ぎませんか?