まぶたの黄色いふくらみは危険信号?眼瞼黄色腫が教えてくれる動脈硬化のサイン
寒くなると指が真っ白に?「レイノー現象」と「しもやけ」の違い
秋から冬にかけて気温が下がってくると、
「指先が冷たくなって真っ白になる」
「しばらくすると紫色になり、温めると赤くなる」
「指先がジンジンする」
といった症状を訴える方がいます。
単なる「冷え性」と思われることもありますが、この特徴的な変化はレイノー現象(Raynaud phenomenon)かもしれません。
今回は、レイノー現象とはどのようなものなのか、原因や発生頻度、鍼灸との関連、自宅でできる対策、さらによく似た「しもやけ」との違いについて解説します。
レイノー現象とは
レイノー現象とは、寒さや精神的な緊張などをきっかけに、手指や足趾の細い血管が一時的に強く収縮し、血流が低下する現象です。
典型的には指の色が、
白 → 紫・青 → 赤
と変化します。
最初に血管が強く収縮して血流が少なくなるため「白く」なり、その後、酸素の少ない血液によって「紫~青色」になります。そして血管が開いて血液が戻ってくると「赤く」なります。
必ず3色すべてに変化するわけではなく、「白から赤」「白から紫」など2段階の場合もあります。
色の変化だけでなく、冷感、しびれ、ピリピリ感、痛みなどを伴うことがあります。発作は数分程度から、場合によっては数時間続くことがあります。
多くは手指に起こりますが、足趾、耳、鼻などにみられることもあります。
レイノー現象には「一次性」と「二次性」がある
ここが非常に大切です。
レイノー現象は大きく、
・一次性レイノー現象
・二次性レイノー現象
に分けられます。
一次性レイノー現象
背景に明らかな病気が見つからないタイプです。
比較的若い女性に多く、左右対称に症状が出ることが多いとされています。通常は指に潰瘍などを残すことはなく、寒さなどによって一時的に血管が過剰収縮する「機能的な血管反応」と考えられています。
二次性レイノー現象
一方、何らかの病気や原因を背景として起こるものが二次性レイノー現象です。
代表的なのが、
・全身性強皮症
・全身性エリテマトーデス(SLE)
・混合性結合組織病
・シェーグレン症候群
・関節リウマチなどの膠原病・自己免疫疾患
です。
特に全身性強皮症ではレイノー現象が非常に高頻度にみられます。
そのほか、振動工具を長期間使用する仕事、血管に影響する一部の薬剤、喫煙などが関係する場合もあります。
どのくらいの人に起こる?
研究によって差がありますが、レイノー現象は一般人口の約3~5%にみられるとされています。
一次性レイノー現象について行われた研究をまとめたメタ解析では、有病率は約4.85%でした。女性のほうが男性より多い傾向があります。
日本で行われた調査では、海外より低い数字が報告されており、研究によって1~3%程度とされています。
つまり、決して非常に珍しい症状ではありません。
こんなレイノー現象は一度医療機関へ
特に注意したいのは二次性レイノー現象です。
次のような場合には、「冷え性だから」と自己判断せず、一度医療機関で相談することをおすすめします。
・中年以降になって初めて発症した
・左右差が非常に強い
・特定の指だけ強く症状が出る
・強い痛みがある
・指先に傷や潰瘍ができる
・皮膚が硬くなってきた
・関節痛や原因不明の発熱など、ほかの症状もある
・症状が徐々に強くなっている
必要に応じて血液検査や爪の付け根の毛細血管を観察する「爪郭毛細血管検査」などが行われます。
特に二次性の場合は、レイノー現象そのものよりも背景にある疾患を見つけることが重要です。
レイノー現象と鍼灸
レイノー現象に対する鍼灸についても研究が行われています。
2023年に医学誌『Acupuncture in Medicine』に掲載されたシステマティックレビュー・メタ解析では、6件のランダム化比較試験、計272人のデータが検討されました。
その結果、鍼灸を行った群では、症状の改善率や1日あたりの発作回数、冷刺激後の指の温度回復など、一部の評価項目で改善が認められました。
鍼刺激が末梢循環や自律神経系、血管拡張に関係する一酸化窒素(NO)などに影響する可能性も研究されています。
ただし、ここは慎重に考える必要があります。
研究数そのものが少なく、対象人数も小規模で、研究の質にも問題があるため、現時点では「鍼灸がレイノー現象に有効である」と断定できるだけの十分な科学的根拠はありません。
したがって当院では、特に二次性レイノー現象が疑われる場合には医療機関での診断を優先します。
そのうえで、冷え、首肩の緊張、睡眠、ストレスなど全身状態も確認しながら、末梢循環や自律神経の調節を目的とした鍼灸施術を補助的な選択肢として考えていきます。
「鍼だけで何とかする」のではなく、病院で確認すべきものは病院へ。そのうえで鍼灸が担える部分を考えることが大切だと考えています。
自宅でできるレイノー現象対策
レイノー現象では「指だけを温めればよい」と考えがちですが、体全体を冷やさないことが大切です。
1.首・お腹・体幹を冷やさない
手袋だけでなく、マフラー、上着、靴下などを利用して全身の保温を心がけましょう。
2.急激な温度変化を避ける
暖かい室内から急に寒い屋外へ出ると発作が起こりやすくなります。外出前から手袋をするなど、「冷えてから温める」のではなく「冷やさない」工夫が重要です。
3.発作が起こったら穏やかに温める
手を脇の下に入れる、ぬるめのお湯で温めるなどして徐々に血流を戻します。
感覚が鈍っている場合には、熱いお湯やカイロを直接当てると低温やけどの危険があるため注意してください。
4.適度に身体を動かす
ウォーキングなど無理のない運動は、身体を温めるうえでも役立ちます。
5.喫煙を避ける
ニコチンには血管を収縮させる作用があります。レイノー現象がある方にとって禁煙は重要な対策の一つです。
6.ストレス対策
精神的緊張も発作のきっかけになります。睡眠を整える、入浴する、呼吸をゆっくり行うなど、自分なりに緊張を緩める時間をつくることも大切です。
「しもやけ」とは?

冬になるとレイノー現象とよく間違われるものに「しもやけ」があります。
医学的には凍瘡(とうそう:pernio/chilblains)と呼ばれます。
しもやけも寒さによって起こりますが、レイノー現象とは少し仕組みが異なります。
寒冷や湿気にさらされた後、末梢の血管反応がうまくいかず、局所に炎症が起こった状態です。
手足の指、耳などが、
・赤紫色になる
・腫れる
・かゆい
・ジンジンする
・熱感や痛みがある
といった症状を呈します。
大きな違いは症状が続く時間です。
レイノー現象は血管が一時的に収縮する「発作」であり、温めると比較的短時間で元に戻ります。
一方、しもやけは皮膚に炎症が生じているため、赤みや腫れ、かゆみなどが24時間以上続き、一般的には1~3週間程度続くことがあります。
レイノー現象としもやけの違い
まとめ―「冷える」だけでも観察すると違いが見えてきますー
「手が冷える」という訴えは日常的によく聞きます。
しかし、
冷たいだけなのか
指が白くなるのか
紫色になるのか
赤く腫れてかゆいのか
温めると何分くらいで戻るのか
を観察すると、かなり違いが見えてきます。
特に、寒くなると指がはっきり白くなり、温めると色が戻るという方は、単なる「冷え性」ではなくレイノー現象の可能性があります。
そして大切なのは、レイノー現象そのものを怖がることではなく、一次性なのか、背景に病気がある二次性なのかを見極めることです。
鍼灸院でも皮膚の色、左右差、冷感、発作の経過などを丁寧に確認し、必要と判断した場合には医療機関への受診をおすすめすることが重要です。
そのうえで一次性レイノー現象などでは、身体を冷やさない生活習慣を基本として、末梢循環や自律神経の調節を目的とした鍼灸施術を補助的に取り入れることも、一つの選択肢になると考えています。



