<歯科医師が教える本当の歯みがき>昭和の名残「1日3回3分歯磨き」の問題点

飯田裕

飯田裕

テーマ:口臭ケア,予防,クリーニング

1.1回3分の歯磨きは時間が足りない

 「3・3・3歯みがき」をご存知ですか?そうです、「1日3回、3分間、食後3分以内に歯磨き」っていうアレです。私と同じ世代の方ならきっと聞いたことがあるフレーズだと思います。昭和の時代に育った人なら懐かしく思い出す方もおられるでしょう。小学校とか学校教育の中でも1年に1回ぐらい、校医さんや歯科衛生士さんが学校にやってきて、歯磨きの習慣づけのために指導していたはずです。



 皆さんご存知のごとく、虫歯も歯周病も原因は細菌です。虫歯の原因が虫歯菌=ミュータンス菌であることは周知のことかと思います。患者さんの中には歯周病のことを「年のせいで歯茎が弱った…」などと加齢変化によるものと思ってらっしゃる方が意外と多くおられますが、現在では原因菌=歯周病菌が特定されていて、これを上手くコントロールすれば歯周病が進まないことがわかっているんです。したがって、
 
 虫歯予防、歯周病予防で一番大切なのはバイ菌の塊=歯垢をしっかり除去することなんです。

 熟成した歯垢は化学的に強固に力で歯の表面に付着していますから、ちょっと擦ったぐらいでは簡単には落とせません。そう考えると1回3分の歯磨きというのは、ちょっと努力不足ですし時間が短すぎると考えられます。
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2.あなたはご自分の歯が何本あるかご存知ですか?

 ところで皆さんはご自分の歯が何本あるかご存知でしょうか?
 親知らずは元から無い方もおられるので、親知らずを除くと全部で28本あるのが普通です。片側7本で上下左右なので全部で28本、1本あたり30秒かけて磨いたとしても14分かかります。裏も表も歯の間も磨くには30秒だと厳しいかもしれません。
 一般の人よりも歯磨きのスキルや知識もあると考えられる歯科医療従事者=歯科医師、歯科衛生士の多くは20分以上歯を磨く人が多いですね。私達でも歯をきれいに磨くのにそれぐらいの時間を要しますから、患者さんにはできれば20分ぐらいを目標に磨いていただきたいです。もちろん現実的には、忙しい朝、職場や学校でお昼に時間をかけて磨けない方がほとんどだと思います。ですから1日1回、就寝前の歯磨きは特に念入りに、丁寧にやっていただくのが重要だと思います。

 歯垢の塊の内部で、虫歯菌や歯周病の原因菌が目立って増え始めるのは、「歯垢が歯の表面に付着して72時間後ぐらいから…」と考えられており、歯垢が付いたまま熟成してくると悪玉のバイ菌の数が増える言われています。したがって1日3回いい加減に磨くよりも、1日1回でもキチンと歯垢を落として、口の中のバイ菌の数を少なく保つ方が虫歯や歯周病になりにくいはずなんです。
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お口の総合クリニック(歯科・口腔外科)/茨城県のインプラント専門医
つくばオーラルケアクリニック http://www.tsukuba-occ.com/
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飯田裕
専門家

飯田裕(歯科医)

つくばオーラルケアクリニック

東京医大病院、東京共済病院などで口腔外科診療や手術を担当。放射線科でCTの画像診断、麻酔科で全身麻酔の研修を修了。この経験を生かしてインプラントの的確な事前診断、手術を実践。

飯田裕プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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