<医学博士が歯科麻酔を解説>歯医者の麻酔が効きにくい場合とは?
1.多くの歯科医院の感染対策は万全とは言えない
「米オクラホマ州の歯科医院で治療を受けた患者約7000人に対し、同州の保健当局がエイズウイルス(HIV)の検査を受けるように勧告した」というニュースが今年の3月にありました。保健当局によると、同州タルサの歯科医師が治療器材・器具の滅菌処理を適切に行っておらず、この医師の治療を受けた約7000人の患者がエイズウイルス(HIV)に感染した恐れがあると発表したものです。考えただけで恐くなるニュースだと思いませんか?
一般の方々はよく「歯医者を選ぶポイントは痛くないこと」「あの歯医者はウデが良い」などと僕らのことを値踏みなさいますが(笑)、きれいに歯が治った・・・でも怖い病気をうつされていた・・・なんてシャレにもなりませんよね?これは治療以前の問題ですので、院内の環境はできるだけ清潔に、使用する器具は絶対に安全でなければなりません。
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2.感染対策では肝炎ウィルスをターゲットにする
歯科診療の際に、特に問題となる病原微生物としては、HIV、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)などがあります。歯科では日常的に歯を削ったり、抜歯したりなどの外科的処置が多いため、我々は患者さんの血液や膿、唾液などの感染性物質に接触したり、飛沫を浴びる危険性が常にあります。
また、治療に使用する多くの医療器具は、大変高価なものもあり、すべてを使い捨てにすることはできませんが、直接感染性物質に接触するわけですから、汚染されていると考えられます。従って歯科医院では一般の医療施設以上に感染対策が要求されるのです。
歯科衛生士や助手を感染から守るために
具体的には、患者さんの口の中に直接入る器具で、金属製など熱を加えても大丈夫な製品は、オートクレーブ(加圧蒸気滅菌機=2気圧121度で20分)で滅菌します。ちなみに滅菌とは、すべての微生物(細菌、ウイルスなど)を死滅させることを言います。消毒とは「無害なレベルまで細菌を減らすこと」ですから、手洗いやアルコールで拭くことは消毒になります。オートクレーブは医療機関を開設する際に、保健所が設置されているかをチェックしに来ますから、すべての医療機関に必ず備わっています。
問題はシリコンやゴム、紙、プラスチックなど熱を加えられない製品についてです。これらについては、医療機関によってやり方・考え方がだいぶ違うのではないかと思います。
3.つくばオーラルケアクリニックの感染防御策
私のクリニックの場合、できるだけ使い捨てのものを使用するのは当然ですが、血液などのたんぱく質を分解する薬液に漬けた後、自動洗浄機もしくは超音波洗浄機で洗浄し、薬液による消毒や、グルタラール(グルタールアルデヒド液)で化学的滅菌を行います。通常、HIVはそこまで強いウイルスではないので、感染力が強い肝炎ウイルスに対応する方法で消毒・滅菌を行います。肝炎ウイルスに対しては塩素系の消毒薬や、イソジン、グルタラールしか有効ではありません(エタノールなどは無効です)ので、診療室の床やスピットン(患者さんがうがいするところ)、型取りした石膏模型などは塩素系消毒薬を使用しています。
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また、ユニット(治療台)の操作パネルや口の中を照らすライトの取っ手の部分など、グローブした手で触る部分は完全な消毒がしづらい部分ですが、写真のようにブルーの使い捨てフィルムを貼り付けて、その上から触れるようにし、患者さんごとに交換しています。ウチの母が治療に来た際に、診療台を購入した時に貼ってあったフィルムカバーをそのままにしている・・・と勘違いして、「もう取ったら?」言いました(笑)。患者さんでもそう思っている方がいるのでは・・・と心配になりますが、そんなことはありませんのでご安心下さい。
歯科では大きな機械から、小さな器具、いろんな材質の道具、薬品を使用するため、消毒・滅菌などの感染対策は完璧にやろうとしてもキリがないのかもしれません。また、コストや手間が必要な対策もあります。当院では、現状で考えられる安全対策については手を抜かずにやっていきたいと思っておりますので、徹底して清潔な環境を整えるためにも、1日あたりの受診患者さんの数を制限することになりますが、完全予約制とさせていただいている次第です。
歯科の感染防御対策② 手洗いとグローブについて
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