歯科医が応急処置を解説 顔面を強打で前歯が抜けてしまったら…歯の再植(歯の脱臼・口腔外科)
1.親知らずが腫れて痛くなった…それは智歯周囲炎です
以前から時々疼いていた親知らずをそのままにしていませんか?「そろそろ治療しなきゃ…」と思いつつ、何か月も放置していると、予定が立て込んでいて忙しい時に限って親知らずは痛くなります。
これにはちゃんと理由がありまして、親知らずのトラブルで最もありがちなのは、親知らずの周りの歯肉が化膿する「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という状態です
。普段から上手く歯磨きできずに不潔な状態になっていると、周りの歯ぐきにバイ菌が入って炎症を起こしてしまいます。
身体が元気な時にはバイ菌も大人しくしていますが、寝不足だったり、疲労が溜まると身体の抵抗力が低下してバイ菌は活発になりますから、忙しい時、大事な予定がある時に限って親知らずは痛くなるもんなんです。
2.痛みが我慢できなくなって来院される患者さん
智歯周囲炎がひどくなると、頬の辺りが大きく腫れて発熱したり、喉の方まで腫れることで飲み込みづらくなってしまう場合があります。
痛くなってから来院される患者さんにありがちなのは、「直ぐに抜いてほしい」というご要望です。
お気持ちは分かりますよ。
つらい → 抜歯すれば楽になる とおそらくはお考えなのでしょう。
親知らずが痛い時、ちゃんとした歯科医師はすぐに抜歯しません。理由はいくつかあります。
まず、親知らず周囲の炎症が強い時、麻酔の効きが悪くなります
(詳しくは以前のコラムをご覧下さいませ <コラム>歯医者の麻酔が効かない場合とは?)。麻酔が効かない状態で抜歯したら拷問です。
さらに炎症を起こしている部分に抜歯操作を行っていじくると、刺激を加えることで炎症が悪化する場合があります
。仮に抜歯できたとしても、抜いて出来た歯肉の穴ぼこの中に元気なバイ菌が沢山いれば、傷の回復が遅れ予後に支障をきたす場合があります。
従って歯科医はまず炎症や感染状態を抑えることを優先します。抜歯をする前に、痛みを軽減し、状態を安定させることが重要です。痛くない抜歯のためにはタイミングが重要なんです
。これにより、抜歯自体のリスクやその後の回復をよりスムーズに進めることができます。
患者さんの中には要望通りすぐに抜歯しないと、ご不満を露わにしてスタッフに苦情をおっしゃる方もおられますが、直ぐに抜歯しないのは私どもの都合ではなく、苦痛の緩和に配慮すれば当然のことなんです。
また逆に、「なぜ抜歯しないといけないのか?」抜歯が必要な理由について20分以上ご説明しても、ご理解いただけずに、腹いせにGoogleのクチコミに☆1とか低評価を入れていく患者さんもおられます。
我々歯科医師にとって抜歯はストレスの溜まる面倒な処置ですし、虫歯治療に比べて儲かる治療ではありません。抜歯はできればやりたくないのが本音なんです。
その辺の心情をお汲み取りいただき、抜歯へのご理解を頂けますと幸いです。
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
つくばオーラルケアクリニック https://tsukuba-occ.com/
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