歯科医が応急処置を解説　顔面を強打で前歯が抜けてしまったら…歯の再植（歯の脱臼・口腔外科）

2016年5月30日公開 / 2018年3月22日更新

テーマ：口腔外科疾患・治療、親知らず

コラムカテゴリ：医療・病院

コラムキーワード：口腔外科

1.事故で歯が抜けてもあきらめたらダメ…再植で復活できるんです

　スポーツ中の衝突事故や酔っぱらって転倒し顔面を強打した際に、歯が割れたり欠けてしまうことがありますが、衝撃が加わる方向やぶつけ方によっては歯が抜けてしまう場合があります。これを歯の脱臼と言いますが、完全に抜けてしまった歯でも、良い状態で歯科医院に持ち込んでいただければ生着させることができる場合があるのをご存知でしょうか？

　元の場所に埋め戻し再び生着させる手技を「再植術」と言います。通常は歯が抜けてしまった場合はインプラントや入れ歯を検討しなければなりませんが、ご自分の歯ですから、身体への負担が少なく、条件が合えばとても有効な方法です。
　しかし、再植は歯の保存条件が整っていないと成功率が低下しますし、お口の中は元々バイ菌だらけですから、傷口が化膿するなど感染するリスクもあるため、すべてのケースがうまくいくとは限りません。
　また、再植の経験がない歯科医師も多く、臨床的に不完全な処置で終わっているケースもよく目にしますから、依頼する歯科医師選びも重要なポイントです。

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2.歯が抜けたら成分無調整の牛乳に入れて歯科へ行こう！

　実際に怪我や事故などで歯が抜けかかったり（亜脱臼、不完全脱臼）、あるいは完全に抜けてしまっても（完全脱臼）、慌てるに及ばず…手際よく抜けた部分を止血しつつ、すぐに歯科医院へ連絡してください。再植術の成否のポイントは受診までのスピードと歯の保存状態です。適切に抜けた歯を保存し輸送、速やかに歯を元の位置にもどすと、再び歯はくっつくことができます。

　歯医者さんに行くまでに皆さんにやっていただくべき歯の保存の要点は、歯の根の表面にある歯根膜という線維状の組織が乾燥しないこと（損傷していないこと）、汚染されていないことです。すなわち、

①歯が地面に落ちて汚れた状態になっても、ゴシゴシ拭いたり、お水で洗ったりしてはいけません。
（お水で洗うと浸透圧の関係で細胞が壊れます）
②歯を乾燥させないようにしてコンタクトレンズなどの保存液があればその中に入れます。
保存液がない場合には、成分無調整の牛乳を調達するか、それもない場合には軽く汚れをとって口の中に入れておきましょう
③夏場はクーラーボックスなどで低温状態を保って輸送しましょう。（但し凍結させてはいけません。）
などの点に気を付けていただく必要があります。分からなければすぐに歯科医院に問い合わせてくださいね。

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※費用については健康保険が適応されない場合がありますので、担当歯科医師にご確認ください。

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