<医学博士が口腔外科疾患を解説>口内炎の原因と治療、予防について
1.舌は全身の健康状態を反映するバロメーター
昔から内科や小児科の外来を受診すると、お医者さんがまずベロの診察をしますね。いろいろな検査技術が発達した今では、舌を診ることは単なる慣習的なところもあるかもしれませんが、舌の色つやや表面の性状はその人の健康状態を反映します。漢方の先生も舌診(ぜつしん)と言って舌を診て、脈を測ります。例えば、
・貧血ならば、白っぽい色の薄い舌
・血圧が高い方なら舌の裏側の静脈が太く浮き上がる
・ミネラルが不足していると表面のザラザラが無くなって平滑な舌に…
など、舌を診るだけでかなりの情報が得られます。精査する前にある程度の見当がつくわけです。昔はスピーディーに調べられる検査機器がなかったので、聴診や触診と合わせて舌診も重要だったのでしょう。その名残として診察時に医師は必ず診るんですね。
<医学博士が解説>ベロが茶色いに?!舌に生えるカビのお話
健康な舌には薄く白い苔のようなもの=舌苔(ぜったい)が少しついています。また、表面は少しザラザラしているのが普通で、舌乳頭という細かな突起物があります。舌乳頭には味蕾(みらい)という味を感じる感覚器官が含まれます。下の写真はその舌の白い部分が何らかの原因で部分的に剥がれて、赤い地肌が大陸と海が描かれた地図のように見えている状態です。これを”地図状舌(ちずじょうぜつ)”と言います。
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2.もしも地図状舌になったら…
たいていは 痛みや痒みはありませんが、ごくまれに食べ物がしみることがあります。地図状の赤い部分の形や大きさなど、見た目は日々変化していきます。 日常生活に支障がなければ治療の必要はありませんが、数日から数週間で模様が消えて自然に治ってしまう場合もあれば、ケースによっては数か月から数年間にわたってこの状態が続く場合もあります。
地図状舌は現在のところ、その原因やメカニズムが分かっていません。風邪や疲労などの体調不良や、発熱して消耗した後に地図状舌が現れることがあります。また、睡眠不足や不規則な生活、ビタミンやミネラルの摂取不足など、栄養状態の不良などに原因があるとも言われています。
私のクリニックでは刺激が少ないうがい薬、ビタミンA、B2、B6などのビタミン剤や、胃腸など消化器症状があれば胃薬なども治療に使いますが、金属アレルギーや他の口腔粘膜疾患が関係している場合もあるので、なかなか治らない場合は口腔外科を受診しましょう。
3.地図状舌など口腔粘膜の荒れには漢方も有効
口内炎などと同様に地図状舌の原因が明らかではないこと、全身状態に関連して出現していると考えられることから、舌も胃や腸と同じ消化管の一部ととらえ、漢方によって胃腸の働きなどの体調全般を高めることで、地図状舌の症状も改善できる場合もあります。
効果が期待できる漢方薬としては、半夏瀉心湯、半夏厚朴湯、柴朴湯、黄連解毒湯、六君子湯などが多くの種類あり、一部は健康保険が適応されます。漢方薬は全身状態や口腔内の状況に応じて選択することが重要ですので、漢方での治療を希望される方はお申し出くださいませ。
口内炎や舌の痛みを改善=歯科で使う漢方薬とは?
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