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浅井知彦

コンクリート住宅設計のプロ

浅井知彦(あさいともひこ) / 一級建築士

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

コラム

子育ての家に健康住宅を建てる。

2023年12月16日

テーマ:子どもの可能性を伸ばす家

コラムカテゴリ:住宅・建物

今回のコラムは健康住宅について。
特に子育ての家での健康住宅を書いていきます。

健康住宅というと、天然素材・自然素材の建材とか、高性能な空気清浄機とかそういうものを想像する人が多いかもしれません。
しかし、今回はそういった家の一部の話ではなく、家全体を健康住宅にする方法を考えていきたいと思います。


風の通る家。換気の大切さ。

都会の住宅立地では、交通量の多い道路沿いなど窓をあけておけないような場所もあるかもしれません。

北野の街並み
もちろん現代の家には換気扇の設置が義務づけられていますので、意識して空気を入れ換えなくても生活に支障は無いでしょう。
また、春には花粉症で窓を開けたくないという人もいるかもしれません。


しかし換気扇だけに頼るのではなく、時には窓を開けて部屋に新鮮な空気を入れられる、風の通る家が健康的なのではないかと、私は思います。

風が抜けるリビング
写真のリビングは風の良く通る3階にあります。

これだけ大きな窓だと、料理の匂いなどがこもることもありません。

明るさも充分です。


最近の家づくりでは換気扇や空気清浄機などで換気する家が増えています。

全館空調の家づくりでは「窓を開けない」設計方針もあります。

もちろん換気扇も有効な手段なのですが、家づくりの基本としては窓が開けられる、風の通り抜けるような家が健康的なのではないかと思います。

陽当たりも健康住宅の大事な要素

陽当たりの良さも健康住宅の大切な要素ではないでしょうか。

住宅密集地では陽当たりの良い部屋をつくること難しいかもしれません。

しかし家づくりを立体的に考え工夫することで、陽当たりを確保することが可能になることもあります。

明るいリビング
明るい部屋は気分も明るくしてくれます。

立地条件によっては難しい課題になるかもしれませんが、心の健康のためにも陽のあたる家を作って貰いたいと思います。

【参考】天井の高い家。間取りではなく立体で考える家つくり

外からの騒音、中からの防音

マンションに住んでいると、上下階や左右の部屋の騒音が気になるという人も多いと思います。

他の部屋からの騒音もストレスになりますし、他の部屋に迷惑を掛けないようにといつも気を使って生活するのも結構なストレスでしょう。

戸建て住宅の場合、家の中での騒音は大きな問題にはなりません(家族で解決しましょう)。

やはり、戸建て住宅の音で気になるのは外からの騒音外への音漏れでしょう。

人通りの多い道路や線路が近い場所なら外からの騒音が気になりますし、静かな住宅地では夜間に大きな音をたてることは憚られます。

戸建て住宅で防音性を高めたい場合、まず対策すべきなのは窓です。

インプラス
写真はLIXILの内窓インプラスです。

二重窓は防音性の他、断熱性も大幅にアップしますし、コストもそんなに高くないので普通の住宅にもおすすめです。

更に家全体の防音性能を上げたいのであれば、壁全体の防音性能、気密性能を高くすることが大事になってきます。

最も効果的なのは鉄筋コンクリート造の家にすることでしょうか。

木造や鉄骨造の場合は、壁に防音材を使用するのが良いかもしれません。

子育て中は、どうしても音を気にしてしまうようなシチュエーションが多いと思います。

子供に我慢させず、外の音にも煩わされず、ストレスなく暮らすことが健康的な住環境だと思います。

緑にあふれる家も大事

植物は空気を綺麗にしますし、日常に緑のある生活は心に安らぎを与えると思います。

しかし都会の住宅の場合、どうしても敷地の関係で緑のある広い庭をとれないことも多いでしょう。

広い庭を造ることが難しい住宅密集地でも、工夫次第で家に緑を取り込む方法はあります。

玄関先や隣地とのちょっとした隙間など、狭い場所でも坪庭を作るという方法もあります。

周囲に緑が多いなら、窓からの眺めを借景にしましょう。

屋上庭園も良いですね。陽当たりの良い、広いプライベートガーデンを作ることが出来ます。


庭の木
子供が小学生のときは、学校から観察用の植木鉢を持ってくることもあります。

心の健康のためにも、可能であれば家にちょっとした緑を取り入れるように工夫したいですね。

機械に頼ることだけが健康住宅ではない

マンションであれば、たとえ新築分譲であっても基本的な部屋の形、窓の大きさは決まってきます。

陽当たりや風の通りなどは変えようがありません。

しかし自由に設計できる戸建て住宅であれば、工夫次第で明るく健康的な家を計画することが出来ます。

子供
高性能な空気清浄機も良いかもしれません。

しかし、それだけに頼るのではなく、家全体を健康住宅にするよう考えていくことが大切ではないでしょうか。

日当たりが良く、風通しが良く、子供がのびのびと暮らせる家こそが子育ての健康住宅ではないかと思います。

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浅井知彦

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