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書庫のある家。本の重さ、家は大丈夫?

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:住宅

こちらのテーマについては、過去にも何度か書いています。

本の多い人が建てる家(書庫/書斎/図書室のある家)

書庫、図書室のある家

家に大量の本を収納する方法


重複する部分もありますが、自宅に書庫を作りたいと考えている人には、今回のコラムも是非、読んで参考にして頂きたいと思います。


本の重さで床は大丈夫?


今まで何度か書いてきましたが、本がいっぱい詰まった本棚は、かなり重いです。

10畳の部屋の壁全面に本棚を作った場合、本をいっぱいに詰めると総重量は1トンを超えます

【参考】壁一面の本棚が欲しい

実際、国土交通省の「建築構造設計基準の資料」によると、建築基準法での通常の部屋の積載荷重の設定が1平方メートルあたり約180kgなのに対し、本を収納する一般書庫では約780kgf、移動書架では1180kgとなっています。

書庫の荷重



部屋中埋め尽くすように本棚を作ることは無いと思いますが、本格的な書庫のある家を考えている人は、通常の部屋の設計よりも重い荷重に耐えられる設計を考えて欲しいと思います。

どこに本棚を作るかでも違ってくる


これは特に木造住宅で気をつけて貰いたいのですが、通常、木造住宅では床を木製の梁で支えています。


【木造住宅参考図】

木は鉄筋コンクリートや鉄よりたわみやすいので、本棚を置く位置によっては、梁や床が大きく「たわむ」可能性があります。


【柱近くに本棚を置いた場合】


【部屋の中央部に本棚を置いた場合】

木造住宅の場合、重い本棚を自由に設置するには、柱の本数を増やす、梁のサイズを大きくするなどの対策が必要です。

安全と安心は違う


木造軸組構造においては、構造上、どうしても家の変形の度合いが大きくなりますので、必然的にきしみ音が発生することが多くなります。

【参考】住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【家がゆれる、きしむ】

構造計算上の「安全」と、住んでいる人の「安心感」は違います。

きしみ音がするからといって即座に「危険な家」だということはありませんが、実際に住んでいる人からすれば「不安」はあると思います。

特に、今までマンションなどに住んでいた方は、この「きしみ音」に不安を感じられるかもしれませんので、注意してください。

書庫のある家にお勧めなのは鉄筋コンクリート造あるいは重量鉄骨造の家


今まで書いてきたことを纏めると、やはり「書庫のある家」を建てるのであれば、その構造は鉄筋コンクリート構造あるいは重量鉄骨構造にすることをお勧めします。

剛性の高い家であれば、きしみやたわみなどが発生する可能性も低く安全かつ安心ですし、長期的な耐久性的にも有利です。

これらの構造では床と壁が強固に接続されていますので、地震時に床が抜けるようなこともありません。

また、本という可燃物を多く収納するのであれば、外壁面、構造材が完全に不燃材料で構成されるコンクリート構造が安心です。火災保険も安くなります。


ハウスメーカーの家で書庫のある家は大丈夫なのか



最後は、ハウスメーカーの家についてです。
ハウスメーカーといっても、その構造は「軽量鉄骨」「木造軸組」「ツーバイフォー」など様々です。

構造

これらの家で重量物である書庫を置いても大丈夫かについては・・・これは直接、そのハウスメーカーの担当者に聞いて貰うしか無いですね。

多分、住宅展示場にいる営業担当者では即答して貰えないと思いますので、

「これくらいの数の本を置きたいが大丈夫か?」
「これくらいの重さのある本棚を複数置きたいので、床が保つかどうか計算して欲しい」

と、具体的に聞いてみて、しっかりとした返信を貰うようにしてください。

ハウスメーカーの「規格化された住宅」であっても、きちんとした会社であれば構造計算手順は準備されていると思いますので、重い本棚に対応した設計をして貰えると思います。

ハウスメーカー側の担当が技術者でない場合「多分、大丈夫ですよ」のような、あいまいな返事をするかもしれません。

規格化されたハウスメーカーの家は、通常「効率的」「合理的」に設計されています。

これは言い方を変えれば「大きな余裕のない設計」であるとも言えます。

つまりどこにでも重量物を置いていい訳ではないと思います。

ハウスメーカの家でたくさんの本を収納する本棚を置きたい場合、キッチリとした説明をうけるようにしてください。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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