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浅井知彦

コンクリート住宅設計のプロ

浅井知彦(あさいともひこ) / 一級建築士

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

コラム

スキップフロアの家/ロフトのある家の問題点/注意点について。

2013年6月17日 公開 / 2020年5月12日更新

テーマ:住宅

コラムカテゴリ:住宅・建物

今回は「スキップフロアの家」「ロフトのある家」についての第二回、スキップフロアの問題点、注意点についてです。

第一回はこちらから。

【参考】スキップフロアの家/ロフトのある家の建築設計


個性的で開放感のあるスキップフロア/吹き抜けのある家を建てたのに、こんな筈じゃなかった・・・こうならないためには、何に注意したらいいでしょうか?

住んでみて「失敗した」と感じるポイントは、なんといっても「暑すぎる」「寒すぎる」「エアコンが効かない」「光熱費が高い」という「温度管理」の問題だと思います。

空調計画の成されていない家は、冬寒く、夏暑い・・・住むのが苦痛になります。

光熱費が高い、エアコンが効かないなど、ランニングコストも嵩みます。


こうならないために、注意すべき家の間取りを挙げていきます。


◆家全体がスキップフロアで構成された間取りプランに注意

狭小地住宅などで採用されることのある、階段を中心に半階ずつずらしたような間取りは、要注意です。

このような家は、家全体が1室で構成されるため、全館空調することが必須になってきます。

また、上下階での温度差も出てきます。

キッチンで料理した臭いも、家全体に広がります。

住むのには、ある程度の「覚悟」が必要です。


◆窓一面のガラス

開放感を得るための「広いガラスでの採光」も、断熱性能を低くしてしまいます。

夏も冬も希望の室温に保つのは難しい、住み辛い家になる可能性があります。

狭小地をに住むための苦肉の策としては仕方ないのですが、せめて断熱性を高めて、可能な限り空調空間を狭くする工夫が必要です。

【参考】光熱費を安く、冬を暖かく過ごす家【神戸、芦屋、西宮で建築士と注文住宅を建てる】


◆リビングを二層分の天井高の吹き抜けにした家に注意

ハウスメーカーのモデルハウスに、よくあるパターンです。

高さがモジュール単位になっていて変更出来ないハウスメーカーの規格住宅では、リビングを吹き抜けにして開放感を出そうとしている間取りがあります。

場合によっては階段室までリビングと一緒にして、二層吹き抜けの大空間にしています。

開放感はありますが、当然、空調は効きません。

また、台所の臭いなど家の中全体に広がるなどして、快適性も微妙です。

このような間取りでは、高い断熱性、空調計画、床暖房や換気計画(特にキッチンの臭い対策)などが重要です。

・・・そもそも、天井高の設定が一階分(2.5mくらい?)の次は二階分(5mくらい)と「2倍の天井高」にするっていうのは、ちょっと設計が雑なんじゃないかと思いますが。

【参考】冬を暖かく過ごすために


では、スキップフロア、ロフト、吹き抜けを上手く使うにはどうしたらいいのか。

これは敷地や間取りに依るので一概には言えませんが、基本的な考え方としては、以下のような点に配慮すればいいと思います。

【1】用途によって、最適な室内高さを考える

【2】空調計画を考える

【3】上下階の繋がりを重視して、生活動線での上り下りを減らす

【4】開放感の演出は、居室ではなくホール(玄関、階段室)を通じて計画する

吹き抜け

【1】と【2】は、今までに書いたとおりです。

【3】を実現するには、家族の生活パターンをじっくりと考え、自由な発想でプランを考えてください。

たとえばリビングが1階とは限りませんし、お風呂が3階にあっても良いのです。

家族の生活パターン、生活動線を考え、無理のないプランニングをすることが重要です。

【4】は、「空調を行う居室」と「空調をしない余裕スペース」を分けるという方法です。

たとえば、神戸の異人館などは、大抵、開放的なホール部分を通じて、各居室にアプローチするプランになっています。

この階段室を含む「ホール部分」を開放的にすることで、家全体に「ゆとり」を演出しているのです。


異人館
異人館ホール

平面的な間取りプランだけでなく、高さ方向も自由に設計できるのが、注文住宅の楽しみだと思います。

今回のコラムも参考にして頂いて、自由な発想で失敗しない家つくりをしてください。


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テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】
http://mbp-japan.com/hyogo/revontulet/column/25680/

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