本の多い人が建てる家(書庫/書斎/図書室のある家)
本棚、収納ついては過去に何度か書いてます。
本の多い人が建てる家(書庫/書斎/図書室のある家)
書庫、図書室のある家
家に大量の本を収納する方法
本、レコード、CDなど「収納する家」を建てる
今回は、新築時に壁一面収納本棚を作りたい人向けの実践編です。
まず、つくる本棚についてですが、こういうイメージの書棚です(写真はどちらもディノスの製品です)
それでは、実際に全面壁本棚作る場合の考察をしていきます。
そもそもどれくらいのサイズが作れるのか
たとえば、10畳の部屋の壁に本棚を設置した場合を考えます。
前提条件は、
・10畳の部屋。部屋の形は、ほぼ正方形。
・天井高は2.4m
・壁一面すべてを本棚にする
・6割ぐらいが文庫本あるいはコミック、新書サイズ。残りが単行本サイズ。
・木製。可動棚で高さ調整可能。
このような本棚です。
どれくらいの本が収納出来るのか
・文庫本の標準的な厚みを13mm、新書の厚みを16mm、単行本の厚みを25mmと仮定する
・収納割合は、文庫本6割。新書3割、単行本2割とする
・・・これらから、本の収納冊数は文庫本2000冊。新書800冊、単行本350冊となります。
重さはどれくらいになるのか
・1冊の本の重さは、文庫本200g、新書250g、単行本とする500gと仮定する
・本全体の重さは文庫本400kg。新書200kg、単行本175kgとなる
・本棚本体の重さは350kgとする
・・・これらから、本棚に本を詰めたときの総重量は1125kgとなります。
重さは大丈夫か
<本棚の下の荷重>
・本棚の床面積は0.91㎡
・本棚総重量は1125kgなので、本棚の床1㎡あたりの荷重は1236kg。
・住宅の床の設計載荷荷重は1㎡あたり180kg。
・・・上記より、本棚の床下については、標準設計荷重を大幅にオーバーしてしまいます。
<部屋全体の荷重>
・床全面に荷重が掛かる場合、10畳(16.5㎡)の部屋全体の設計載荷荷重は2970kgになる
・・・・本棚の荷重を床全体に分散した場合、理論上は設計荷重以下に納まることになります。
<本棚を壁2面に設置した場合>
・本棚直下の荷重は標準設計荷重を大幅にオーバーする
・本棚2面の荷重を部屋の床全体に分散した場合、2面本棚でも設計荷重以下に納まる
・・・しかし、これでは荷重がギリギリになるので、これ以上部屋に重い物は置かない方が良いですね。
実際に家は大丈夫か
これらのことから考えると、実際に壁一面本棚を設置する家については、以下のように言えると思います。
◇木造で本棚直下に柱がない場合、壁一面の本棚は、かなり無謀だと思われる。
◇木造で本棚直下に柱を配置した場合でも、きちんとした構造計算を行い、安全性の確認を行わないと危険がある。
◇壁一面本棚を作るのなら、鉄筋コンクリートあるいは重量鉄骨構造の家を建てることをお薦めする。
◇鉄筋コンクリートあるいは重量鉄骨構造の場合でも、大型本棚設置は設計者に伝えておいた方が良い。
本当に安全性は大丈夫か
実際にこのような大型本棚を作っても大丈夫か、考えてみます。
◇作り付け本棚であれば、建物駆体に書棚をしっかり固定することで地震時に本棚が倒れる心配は殆ど無い。後から家具として設置した場合は、固定器具次第で安全性が決まるので要注意。
◇本棚が倒れなくても、地震時、本が落下することはある。命に危険は無いかもしれないが、寝室、ベッド近くへの設置は好ましくない。
本棚自体は安全でも、天井近くの高さの本が落下する可能性はありますので、ベッド近くへの本棚の設置は避けた方がよさそうです。
最後に本棚の制作コストについてですが、過去の経験上「通販家具よりは少し高いが、それほど高額ではない」という認識で良いと思います。
設計者に相談してください
今回は、新築時に壁一面収納本棚を作りたい人向けの実際を書いてきました。
壁一面の本棚については、埃が付くのが嫌、そもそも本を他人に見せたくないという人もいるかと思います。
しかし本が探しやすい、この収納スタイルは迫力があって魅力的という人もいるでしょう。
壁一面の本棚を作ってみたい人は、是非、新築時に設計者に相談してください。