屋上緑化、屋上庭園。実際に5年住んでみました。

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:屋上緑化

屋上緑化、屋上庭園は、庭のとれない都会の住宅では非常に魅力的です。

実際、屋上緑化については、雑誌やテレビの住宅紹介番組などで見かけることも増えました。

しかし、その分、設計者がどれだけ真面目に考えて設置しているのか、疑問のあるものも多くなってきています。

屋上緑化は、設置してしまえばそれで終わりというものではありません。

植物ですから、当然手入れも必要です。

設計者は作ってしまえばそれで終わりかもしれませんが、住む人はずっとそこで生活していくのです。

出来たばかりの屋上庭園は綺麗ですが、そこからどうやって維持管理していくのか・・・設計者はメンテナンス方法も含めて提案する必要があると思います。


今回は、屋上緑化の家の「現実」について書いていきます。

実際に屋上緑化の家に5年住んだ上での話を書いていきますので、これから屋上緑化、屋上庭園を検討されている方は、参考にしてください。


◆芝生、樹木の手入れはどうするか?

屋上緑化

写真は5年経過した屋上の芝生です。

手入れは、年数回(少ないときは年2~3回、多いときでも年5~6回)の芝刈りと、化成肥料(ホームセンターで売っているもの)を年数回程度です。

本当は、芝刈り頻度は月2回くらいが好ましいようですが・・・かなりサボっています。

屋上の場合、普通の庭に比べて雑草があまり生えないので、除草は殆どしません。

最近では、年が経つにつれて少しずつ雑草が増えてきたような気がしています。

屋上緑化・・・手入れ不足

写真は芝刈りせずに約2ヶ月放置した状態。

雑草も少し生えています。


樹木については、オリーブを植えました。

4本ありましたが、2年目で2本枯れてしまいました。

枯れた原因は、台風による強風で痛めつけられたことです。

屋上庭園は遮るものが何もないため、陽当たりは最高ですが、強風時には風が吹き荒れます。

開放性は少し下がりますが、ある程度の高さで壁を設けるなどの強風対策を行っても良いかもしれません。

陽当たりが良いということは、夏場の水やりも重要になってきます。

現在の水やりは、タイマー式のスプリンクラーを使っています。

猛暑が続くと水道代は上がりますが、その分、最上階の冷房代が下がるので、それほど大きな負担ではありません。

屋上物置

芝刈りの道具、肥料などを入れておくために、物置きを置いています。

芝生や樹木の手入れには道具が必要ですので、こういう物入れは必須だと思います。


◆屋上ガーデン、屋上の使い方について。

屋上の使い方は、いろいろです。

屋上菜園

屋上緑化のうち、一部には土を入れて家庭菜園にしています。

利点は陽当たりが非常に良く、雑草が少ないこと。

注意点は、強風に弱いことです。

空豆、エンドウ豆、枝豆などの豆類、西瓜、メロンなどの果物類、茄子やトマト、トウモロコシなどの夏野菜、冬から春はイチゴ・・・5年の間に、いろいろなものを作ってみました。
(失敗したものも多数あります)

最近は、手間が掛からないという理由で、ジャガイモ、サツマイモが定番です。

これらは肥料もあまり使いません。

本格的に菜園を楽しむなら、肥料や支柱、不織布、マルチなどを使うと思いますので、ここでも当然、物置きが必要になってきます。


屋上望遠鏡

ホームセンターで買ってきた望遠鏡です。

街中なので、ちゃんとした天体観測は出来ませんが、子供が月を観察するのに使っています。


屋上ガーデンは、住む人が「自由に楽しむスペース」です。

バーベキューをすることもありますし、場所によっては花火をみることも出来ます。

屋上の使い方は、住む人がそれぞれ自由に考えて貰えれば良いと思います。

ただ「植物にはある程度の手入れが必要なこと」「収納スペースを確保しておくこと」などを、意識しておいて頂ければと思います。

【追加情報】最近の状況はこちらです。

屋上緑化、屋上庭園。実際に14年住んでみました。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士、コンクリート診断士、マンション管理士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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