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浅井知彦

コンクリート住宅設計のプロ

浅井知彦(あさいともひこ) / 一級建築士

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

コラム

屋上緑化 長期レポート「10年経ちました」

2018年12月15日 公開 / 2020年5月6日更新

テーマ:屋上緑化

コラムカテゴリ:住宅・建物

新築を計画されている方の中には、屋上緑化について興味のある方も多いかと思います。

しかし、現在、「屋上緑化」で検索を行っても、殆どは業者のPRページで、コストや手入れ、耐久性など、「実際のところ」が判るような情報は殆ど出て来ません。


今回のコラムでは、屋上緑化の家に住みはじめて、約10年(正確には9年と半年)が経ちましたので、感想のまとめを書いてみたいと思います。

自宅の屋上緑化、屋上庭園に興味のある方は、是非参考にして下さい。

防根シート
私の自宅(鉄筋コンクリート打ちっ放し、3階建て)では、鉄筋コンクリート陸屋根の上に通常の防水工事、そしてその上に防根シート(植物を植えるためのシート)を敷き込みました。

上の写真は防根シートです。

防根シートまでが建築施工会社の工事で、ここからが屋上緑化施工業者の仕事となります。

今回はそこに軽量土を入れて、芝生を直植えしました。

屋上の利用面積比率では、6割程度が芝生、3割くらいがタイル(バルコニー用のジョイント敷タイル)、残りが樹木(オリーブ)と畑になっています。


芝生については最初の2、3年は雑草も生えムラも殆ど無く、非常に綺麗でした。

屋上緑化
手入れは年に数回の芝刈り、たまに肥料を撒くだけでしたが、充分、美しい状態を保っていました。


それから年月が経つに従って、若干雑草が生え始めました。

とはいっても、普通の地面に比べると、圧倒的に少ない量です。

ただ、芝生に生える雑草は、根が張るとなかなか抜けないので厄介ですね。

屋上緑化10年目
現在の屋上はこんな感じ。初冬なので芝は冬枯れています。

最初の頃に比べると、芝自体、若干荒れていますね。

芝生を常に綺麗に保つには、サッチング、目土入れ、エアレーションなどを行う必要があります。

しかし、最近は芝刈りを年に2回程度、その他の手入れも殆どやっていません。

ちゃんと手を入れれば、現在でも綺麗な芝生が保てると思いますが・・・手入れ不足が芝荒れの原因ですね。


最初のような美しい芝ではありませんが、それでも遊ぶ分にはあまり困ることもありません。


屋上で遊ぶ
スイカ割りをしたり、芋掘りをしたり、バーベキューを楽しんだりしています。

屋上にこういうフリースペースがあるというのは良いですね。



屋上緑化の庭のある家に、約10年住んでみた率直な感想を挙げていきます。

◇防水は問題無かった
(元々コンクリートなのであまり心配していません)

◇緑による断熱効果は充分実感できる
(特に夏の熱射はかなり抑えられていると思います)

◇土を入れて芝生を育てているので、手入れはそれなりに大変
(上記写真のとおり。芝生を綺麗に保つ為には手を掛ける必要が有ります)

◇しかし、手入れしなくても意外と問題ない
(これも上記写真のとおり。地上と違い雑草が少ないので、年2回の芝刈りだけでもそれなりに使える庭になります)

◇畑は陽当たりが良く、雑草も少ない。ただ、風が強いと野菜が倒れる。
(いろいろな野菜を育ててみました。成功も失敗もあります)

◇屋上まで肥料などを運ぶのは大変。芝刈り後のゴミを持って降りるのも大変。
(芝刈り後、畑の収穫後などにはかなりのゴミが出ます)



そして、これから屋上緑化を行おうという人に対してのアドバイスは以下の通りです。

☆今回のような芝生の直植えは、ちゃんと手入れが出来る人にのみ、おすすめしたい。
芝生の手入れに時間が取れないようであれば、芝生面積を狭くするか、トレイ式などを使った方が良いと思います。

☆樹木、花などについては大型プランターを使う
私の自宅では、樹木もほぼ直植え、畑も直接設置していますが、このようにすると移動や植え替えが不便です。
最近は軽量な大型プランターもあるので、そちらの方が良いかもしれません。

☆倉庫は必須
ガーデン用品はどんどん増えていきます。倉庫は必須だと思います。

☆勿論、水も必須
散水、手洗いなど、屋上を活用するなら水は欠かせません。出来れば流し台も設置しましょう。

☆家具を置いても良い
ガーデンファーニチャがあると、屋上の景色が一気に庭園風になります。
雨風に晒されるので手入れは面倒ですが、欲しい設備です。



もうひとつの提案として、屋上のような空間を気軽に楽しみたいのであれば、広めの「リビングバルコニー」をお勧めします。

リビングバルコニー
リビングバルコニーの場合、それほど広い面積をとることは出来ないかもしれませんが、使い勝手の良さでは屋上よりも便利で、かなり有効に利用出来ると思います。

ここに緑の鉢植えやガーデンファーニチャを置けば、リビングと一体化して、見た目にも楽しめると思います。

屋上家具

最近ではビルの屋上に緑の庭園を作るなど、屋上緑化が珍しくなくなってきました。

しかし、こういった施設はプロの庭園監理者が費用も手間も掛けて管理を行っているもので、住宅とは前提条件が全然違います。


自宅で屋上緑化を行ったとき、実際の手入れ、費用、手間、活用方法についての「具体的情報」は、まだまだ不足していると思います。

私はこれからも屋上緑化の家に住み続けますので、出来る限り情報発信していきたいと思います。

自宅に屋上緑化を考えている方は、是非御相談下さい。


  ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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