AI時代に家庭で育てたい「情報リテラシー」とは?
ChatGPTをはじめとする生成AIが、私たちの生活の中に急速に広がっています。
文章を考える、分からないことを調べる、画像を作る、プログラムを書く、、など。
少し前まで専門的な知識が必要だったことも、今ではAIに話しかけるだけで簡単にできるようになりました。
一方、小・中学生の保護者の方からすると、
「子どもにAIを使わせても大丈夫?」
「宿題を全部AIにやらせるようにならない?」
「自分で考えなくなるのでは?」
と、不安に感じるのも当然だと思います。
私はWEB制作会社の経営・仕事を続けながら、小・中・高校生向けのITスクールで、プログラミングやWEB制作、デザイン、動画編集、生成AIの活用などを教えています。
教育現場で子どもたちと接していて感じるのは、これから必要なのは「AIを使わせないこと」ではなく、「AIをどう使うかを教えること」だということです。
今回は、子どもが生成AIを使い始める前に、ぜひ保護者の方にも知っておいていただきたいことをお伝えします。
1.AIの答えは、必ずしも正しいとは限らない
まず子どもたちに知ってほしいのが、「AIは何でも知っている先生ではない」ということです。
生成AIは、とても自然な文章で回答してくれます。
そのため、子どもからすると「こんなにはっきり答えているのだから正しいだろう」と思ってしまうかもしれません。
しかし、AIは間違った情報や、古い情報を回答することがあります。
だからこそ、
「AIが言っているから正しい」で終わらせず、
「本当にそうなのかな?」
「ほかの情報でも確認してみよう」
と考える習慣が大切です。
これはAIを使うためだけの力ではありません。
インターネットやSNSなど、たくさんの情報に囲まれて生きていく子どもたちに必要な「情報リテラシー」そのものです。
2.「答えを出してもらう」だけでは、学びにならない
私が子どものAI活用で特に大切だと考えているのが、この部分です。
例えば学校から、「○○について自分の考えを書きましょう」という課題が出たとします。
そこでAIに、「○○について作文を書いて」と入力し、出てきた文章をそのまま提出する。
これでは、課題は完成しても、子ども自身の「考える力」はほとんど使われていません。
一方、
「私は○○だと思うけれど、ほかにはどんな考え方がある?」
「この文章をもっと分かりやすくするには、どこを直せばいい?」
「自分で考えたいので、答えではなくヒントをください」
という使い方ならどうでしょう。
AIが、答えを代わりに作る道具ではなく、自分の考えを深める道具になります。
同じ生成AIでも、使い方によって学びの質は大きく変わります。
3.分からないことを「AIに質問する」のは悪いことではない
私は、子どもが分からないことをAIに質問すること自体は、決して悪いことだとは考えていません。
例えばプログラミングをしていてエラーが出たとき。
すぐに、「正しいコードを書いて」と頼むのではなく、
「このエラーの原因を自分で考えたいので、ヒントをください」と質問することもできます。
さらに、
「このコードのこの部分は何をしているの?」
と聞けば、自分の理解を深めるためにも使えます。
これは、私自身がITスクールで子どもたちに生成AIを使わせる際にも大切にしている考え方です。
AIに考えてもらうのではなく、AIと一緒に考える。
この感覚を身につけることが重要です。
4.個人情報を入力しないことを教える
生成AIを使う前に、家庭で必ず話してほしいことがあります。
それが個人情報です。
例えば、
- 本名
- 住所
- 電話番号
- 学校名
- 顔写真
- 友達や家族の個人情報
- IDやパスワード
などを、安易に入力しないことです。
また、「自分の情報でなければいい」というわけでもありません。
友達とのメッセージや写真などを、本人の許可なくAIへ入力することにも注意が必要です。
便利だからこそ、「この情報をAIに渡しても大丈夫かな?」と一度考える習慣を、小さいうちから身につけてほしいと思います。
5.AIで作ったものにも「著作権」への意識が必要
生成AIを使えば、画像や文章、音楽なども簡単に作ることができます。
子どもにとっては、とても楽しい体験です。
しかし、そこで忘れてはいけないのが著作権など、他者の権利への配慮です。
「AIが作ったから何に使っても大丈夫」と単純に考えるのではなく、
「この画像は公開して大丈夫?」
「誰かの作品に似すぎていない?」
「学校の課題でAIを使っていいの?」
など、使う場所や目的を考えることが大切です。
これは単なるルールの暗記ではなく、「作ったものをどう扱うかまで考える」情報モラルの教育につながります。
ここまで読むと、
「AIのことを自分も勉強しないと、子どもに教えられないのでは?」
と思われるかもしれません。
もちろん、保護者の方もAIについて少しずつ知っていくことは大切です。
でも、子どもより詳しくなる必要はありません。
それよりも、
「AIはなんて答えたの?」
「あなた自身はどう思う?」
「その情報は本当に正しいかな?」
「AIを使う前は、どう考えていた?」
と聞いてあげてください。
私は、こうした親子の会話がとても重要だと考えています。
AIの操作方法を教えること以上に、AIが出した答えについて親子で考えることが、子どもの情報リテラシーを育てるからです。
私がIT教育で大切にしていること
私のスクールでは、プログラミング、WEB制作、デザイン、動画編集などを通じて、子どもたちが自分のアイデアを形にする経験を大切にしています。
生成AIについても同じです。
最初からAIに完成品を作らせるのではなく、
まず自分で考える。
自分でやってみる。
分からなければ調べる。
それでも難しいところでは、AIからヒントをもらう。
そして最後に、
「これは本当に自分が作りたかったものになっているか?」
を自分自身で判断する。
AI時代のIT教育では、このプロセスがますます重要になると考えています。
これから子どもたちが大人になる頃、生成AIは今以上に身近な存在になっているでしょう。
だから私は、子どもからAIを遠ざけることが最善の教育だとは考えていません。
必要なのは、
AIの答えをうのみにしない。
自分の頭でも考える。
個人情報や著作権に配慮する。
必要なところではAIの力を借りる。
そして最後は自分で判断する。
そんな力を育てることではないでしょうか。
これから求められるのは、単に「AIを使える人」ではありません。
AIを使いながらも、自分で考え、自分で判断し、自分のアイデアを形にできる人。
私は、そんな子どもたちを育てていくことが、AI時代のIT教育の大切な役割の一つだと考えています。


