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神山まるごと高専に見る、これからの中学生に必要な「つくる力」とは

中農祥平

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テーマ:「考える力」と「創る力」を育む

子どもたちの進路を考えるとき、これまでは「どの高校へ行くか」「偏差値はどのくらいか」といったことが、大きな判断材料になってきました。
もちろん、学力や基礎学習が大切であることは、これからも変わりません。

一方で、AIやデジタル技術が急速に発展する今、子どもたちに求められる力は少しずつ変化していると感じます。
その一つが、「自分で考え、実際に何かをつくる力」です。

今回は、近年注目されている「神山まるごと高専」も一つの例として取り上げながら、小学生高学年から中学生の時期に、なぜ「つくる経験」が大切なのかを考えてみたいと思います。

「何を知っているか」から「何をつくれるか」へ

私は日頃、小学生から高校生までの子どもたちに、プログラミングやWEB制作、デザイン、動画編集などを教えています。
その中で感じていることがあります。
それは、知識を覚えることと、その知識を使って何かをつくることは、まったく別の力だということです。
たとえば、HTMLやCSSの書き方を覚えた子どもに、「では、自分の好きなテーマでホームページをつくってみよう」と伝えると、そこから必要になる力が大きく変わります。
何について紹介するのか。

どんなページ構成にするのか。
写真はどこに配置するのか。
見る人に何を伝えたいのか。
うまく表示されなかったら、どこを修正するのか。

一つの作品を完成させるためには、プログラミングやWEB制作の知識だけでは足りません。
考える、試す、失敗する、修正する、そして完成させる。
こうした一連の経験が必要になります。

私は、このプロセスそのものに大きな教育的価値があると考えています。

神山まるごと高専が注目される理由

こうした「つくること」を重視する教育を考えたとき、非常に興味深い学校の一つが神山まるごと高専です。
神山まるごと高専は、テクノロジーだけではなく、デザインや起業家精神なども含め、自分のアイデアを社会につなげていく学びを特徴としています。

ここで注目したいのは、単に「プログラミングができる子」を育てようとしているわけではないという点です。
テクノロジーは、あくまで自分のアイデアを実現するための手段です。
「何をつくりたいのか」
「なぜ、それをつくりたいのか」
「誰のためにつくるのか」
「どうすればもっと良くなるのか」
こうした問いを自分自身で考えることが重要になります。

私は、この考え方は神山まるごと高専を目指す子どもだけに必要なものではないと思っています。
むしろ、AI時代を生きるこれからの子どもたちに広く必要になる力ではないでしょうか。

AI時代だからこそ「つくった経験」が重要になる

生成AIを使えば、文章も、画像も、プログラムも短時間でつくれるようになりました。
今後、その性能はさらに高くなっていくでしょう。
すると、「正しいコードを書ける」「ソフトを操作できる」という技術だけでは、人の価値を差別化しにくくなっていく可能性があります。

だからこそ私は、子どもたちにはITスキルと同時に、
「何をつくるかを考える力」
を身につけてほしいと思っています。

たとえばAIに、「ゲームをつくって」と指示するだけなのと、
「小学生でも楽しめるゲームにしたい。ルールはこうして、キャラクターはこんな世界観にしたい」と考えられるのとでは、大きな違いがあります。
AIが答えを出してくれる時代だからこそ、人間側には「問いをつくる力」「目的を考える力」「良し悪しを判断する力」が必要になります。


AIを使い「中学生が喜ぶ架空のラーメン」を紹介する動画をつくる中学生

小学生高学年~中学生は「自分の好き」を見つける大切な時期

では、いつからこうした経験を始めればいいのでしょうか。
私は、小学生高学年から中学生は、とても良い時期だと考えています。
この年代になると、子ども自身の興味や得意・不得意が少しずつはっきりしてきます。

プログラミングが好きな子。
絵やデザインが好きな子。
動画をつくることが好きな子。
ゲームを考えることが好きな子。
文章を書いたり、人に伝えたりすることが好きな子。

最初から将来の職業を決める必要はありません。
むしろ大切なのは、いろいろなことを実際にやってみることです。

プログラミングをやってみる。
ホームページをつくってみる。
動画を編集してみる。
デザインしてみる。
AIを使ってアイデアを形にしてみる。

その経験の中から、
「これは面白い」
「もっとやってみたい」
「自分はこれが得意かもしれない」
というものが見つかっていきます。
私は、この「夢中になれるものとの出会い」が、子どもの進路を考えるうえで非常に大切だと思っています。

作品は「自分について語る材料」になる

さらに、中学生くらいから意識してほしいのが、作品を残していくことです。
ゲーム、WEBサイト、デザイン、動画、アプリ。
完成度が高くなくても構いません。

大切なのは、
「なぜこれをつくったのか」
「どこを工夫したのか」
「どこで失敗したのか」
「どうやって解決したのか」
「次につくるなら何を改善するのか」
を自分の言葉で説明できることです。

これは、単なる作品集ではありません。
作品と、その制作過程を積み重ねていくことで、「自分は何に興味があり、何を考え、どんな行動をしてきた人なのか」を示す材料になっていきます。

「受験のためにつくる」のではなく、「つくってきたことが進路に

ここは、私が特に大切にしたい部分です。
神山まるごと高専のような学校を目指すから、急いで作品をつくる。
入試に必要だから、プログラミングを始める。
もちろん、それも一つのきっかけにはなります。

しかし本来は、
「受験のために作品をつくる」のではなく、「好きでつくり続けてきた経験が、結果として自分の進路につながる」
という順番が理想ではないでしょうか。
だからこそ、小学生高学年や中学1・2年生くらいから、さまざまなモノづくりに触れておくことには意味があります。
すぐに結果を求める必要はありません。
一つつくって、失敗して、また違うものをつくる。
その繰り返しの中で、その子らしい興味や強みが少しずつ見えてきます。

子どもの進路を「偏差値+もう一つの軸」で考える

これからの進路選択では、保護者や教育に携わる私たち大人も、少し視野を広げる必要があるのかもしれません。
「どの学校へ行けるか」だけではなく、
「この子は何に夢中になれるのだろう」 「どんなものをつくっているときに生き生きしているだろう」
という視点です。

神山まるごと高専のような新しい教育を行う学校が注目されていることも、これからの教育や進路のあり方を考える一つのきっかけになると思います。
学力を身につけること。
知識を増やすこと。
そして、自分で考え、つくり、試してみること。
どれか一つではなく、それぞれが大切です。

子どもたちが将来、自分自身で進路を選択できるようにするためにも、小学生・中学生のうちから「自分のアイデアを形にした経験」をたくさん積ませてあげたい。
子どもIT教育に携わる立場として、私はそう考えています。

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中農祥平
専門家

中農祥平(子ども向けITスクール)

株式会社リジョンクリエイト

小・中学生向けIT・プログラミングスクールで、ゲーム開発やWEBデザイン、プログラミングを幅広く指導。長年の現場経験をもとに、AI時代に求められる「考える力」「創る力」と子どもの自信を育てます。

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