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髙岡恭平

人生100年時代の健康寿命リフォームのプロ

髙岡恭平(たかおかきょうへい) / 福祉住環境コーディネーター

森林浴生活株式会社

コラム

ヒートショックを予防するリフォームポイント!窓や床の冷気を抑えること

2019年4月1日 公開 / 2020年4月24日更新

テーマ:リフォーム 親&実家

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

人の体は急激な温度変化についていけないことがあります。冬場の突然死の原因とされるヒートショックは、気温の大きな変動で起こります。

血圧の乱高下や脈拍の乱れが生じるなど、体に悪影響を及ぼし、失神・心筋梗塞・脳梗塞を引き起こすもので、近年は特に注視されるようになってきました。
ヒートショックは、リラックスして過ごせるはずの自宅で起きます。家の中に温度差の激しい場所があるとすれば要注意です。


【家庭内で死亡するのは、超高齢者ばかりではありません】

家の中にある危険な温度差 ヒートショックはなぜ起きるのか?
ヒートショックは主に家の中で起きることがわかっています。冬に、暖房の効いた暖かい部屋と暖房のついていない浴室やトイレでは、10度を超える温度差があるといわれます。

家の中に居ながらにして味わう激しい温度差。寒暖の差が原因で、体がダメージを受ける状態をヒートショックといいます。急激な温度変化によって血圧が上下に大きく変動すると、血管や心臓に負担がかかってしまいます。

ヒートショックは心筋梗塞・脳梗塞・不整脈を起こす要因となり得ます。また、ヒートショックで失神し、浴槽内で溺れて死に至ったというケースは、入浴中の急死原因で最も多いものです。

寒い所への移動によって、人間の体はどのような反応をするでしょう。
室温の急激な変化で「うわ!寒い」と感じたら、ブルブルと筋肉をふるわせて熱を作り自分の身を守ろうとします。
同時に血管は収縮し細くなり、皮膚の下を流れる血液の量を減らして調整し、体の熱を外に逃がすまいと頑張ります。

ところが、血管が縮み血液の流れが悪くなることで、血圧は急上昇をはじめます。さらに浴槽で熱いお湯に浸かると、今度は血管が拡張し、急上昇していた血圧は急激に下がってしまいます。

お風呂場で体を洗い、浴槽から出たり入ったりしたあとの冬の脱衣所の寒いこと!一連の入浴行動で血圧は大きく変動します。


【高齢化社会になって、冬場の無断熱が命に直結するようになりました】

ヒートショックを防ぐためにできる身近な対策
健康な若い方なら耐えられる血圧の急な上昇や下降。しかし高血圧や糖尿病、動脈硬化が進行した高齢者では、致命的な結果をまねくことがあります。

また、血圧の低下時にはめまいやふらつきが起こりやすく、意識を失って転倒するなどの事故に繋がることもあるのです。

ヒートショックを起こすのは、冬場の冷え込んだ浴室・洗面室・トイレです。暖房器具を使っていないことが多い場所なので、極端な温度差が起きるスペースだといえるでしょう。

ヒートショックを起こさないために、できる工夫があります。

□入浴すると汗をかき体内の水分が減少するので、血液がドロドロになります。それは血栓ができやすく、血圧の上昇で脳梗塞や心筋梗塞になりやすい状態。入浴の前後にコップ1杯の水分を補給して、血圧や血流の変動をおさえましょう。

□食後は消化器官に血液が集まり、血圧はやや低くなっています。食事を取った直後の入浴で血圧を上げないように、1時間ほど経ってから入るのがおすすめです。

□飲酒も血管の拡張や血圧低下を起こします。酔いが回ると体の反応も悪くなり転倒しやすいので、飲酒後の入浴は避けましょう。

□脱衣所に暖房器具を設置して、室温をキープすることは重要です。シャワーを使い高い位置から浴槽にお湯を溜めると、浴室内もあたたかくなります。

□冬の寒い個室といえばトイレです。電機温風器を置いておけば安心できます。人感センサー付きや、ヒーターと一体型の天井照明も販売されています。


【マンションの4連内窓(木製)施工写真】

こんなに変わる!寒さや温度差対策には断熱リフォームがおすすめ
年々、増加するヒートショックによる死亡。家庭内死亡事故の中でも、お風呂で命を落とすケースは、交通事故死の3倍以上と言われています。温度差による健康リスクをかかえながら、室温に無関心なままでいいのでしょうか。

実は、床から1.1mの高さの室温が20度から10度に下がった場合、血圧は5mmHgも上昇します。さらに注目すべきは、足元の温度。10度下がると、血圧は9mmHgも上昇するのです。

エアコン暖房でよく聞かれるのは、体があたたまっても足元がスースーするという独特の冷えのお話です。マンションではとても顕著に感じるようで、コンクリートの上にクッション付きのフローリングやカーペットを貼っているだけの施工状態が、かなり影響しているといえるでしょう。

省エネ基準が改定された平成11年以降に建築した家は、それ以前の住宅よりも断熱レベルが高いといえます。それ以前の住宅は、窓・床・壁・天井を含め、断熱が不十分であることがほとんどで、部屋ごとの温度差が激しいという現象が生じます。

また、築年数が経過した家は、家族が独立して世帯人数が変わっていたり、介護がはじまっているなど、ライフスタイルに変化が生じているはずです。間取りや内装、設備のリフォームを考えるタイミングには、ぜひ断熱のことも考えてください。


【戸建てなら、アルミ複合樹脂複層ガラスサッシが有効です】


【無垢床材の増貼り施工です】

冬の部屋の暖気の約50%は窓から逃げてしまいます。断熱リフォームをするなら、窓はとても重要です。今ある窓の部屋側に内窓を設置することで、断熱はもちろん、結露防止や遮音の効果も得られます。

木製の内窓ならば、天然木の風合いが心地よく、窓まわりのイメージが一変し、暮らしの快適さとともにインテリアのグレードもアップするでしょう。

同じく無垢材ならではのぬくもりを発揮するのが杉の床材。杉を活用して足元の寒さを解消しましょう。既存の床の上に設置する「置き床生活」には優れた断熱効果があり、工事も簡単なのでおすすめです。

内窓と床材によるダブルリフォームが完了した住宅で、既存サッシのガラスと内窓のガラスに温度計を設置して比較すると、なんと12度もの温度差があり、ダブル断熱リフォーム後の室内のあたたかさが実証されました。


【2012年、実際にマンションで木製内窓と無垢床施工した時の室温と外気温の変化です】

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