人生の節目と遺言 ~家族への未来のメッセージ~3
これまでの連載では、
遺言は高齢者だけのものではなく、人生の節目に考えるものではないか、というお話をしてきました。
すると次に出てくるのが、「実際にはどう書けばいいのですか?」という疑問です。
最近はスマートフォンやパソコンが身近になりましたので、「スマホのメモに残しておけば大丈夫ですか?」というご質問をいただくこともあります。
しかし、スマホのメモだけでは遺言として認められません。
遺言は、亡くなった後に効力を持つ法律行為です。
本人が亡くなった後になって、
- 「本当に本人が作ったものなのか」
- 「いつ作成されたものなのか」
- 「どのような意思だったのか」
を確認することは簡単ではありません。
そのため法律は、遺言に一定のルールを設けています。
せっかく家族への想いを書き残したとしても、そのルールを満たしていなければ法的な効力を持ちません。
自筆証書遺言
もっとも身近な遺言の方式として、自筆証書遺言があります。
名前のとおり、自分で作成する遺言です。
そして、自筆証書遺言には基本となる4つの要件があります。
•本文を自分で書く
•日付を書く
•氏名を書く
•押印する
この4つです。
どれか一つでも欠けてしまうと、有効な遺言として認められません。
遺言は想いを残すためのものですが、
同時に法律上の大切な文書でもあるのです。
財産目録は、預金通帳のコピーを使える!
もっとも、「全部を手書きしなければならない」と思われている方も少なくありません。
実は、自筆証書遺言は以前より使いやすくなっています。
例えば財産目録については、パソコンで作成することができます。
また、預金通帳や不動産の登記事項証明書のコピーなどを添付することも可能です。
つまり、財産の一覧まで全て手書きしなければならないわけではありません。
制度も時代に合わせて少しずつ利用しやすくなっているのです。
もっと利用しやすい遺言になるように検討されている
さらに近年は、社会全体のデジタル化に合わせて、遺言制度の在り方についても議論が進められています。
将来的には、今よりも利用しやすい仕組みが整備されようとしています。
ただ、現時点では自筆証書遺言には法律で定められた方式があります。
まずは現在のルールを正しく理解することが大切です。
自筆証書遺言書保管制度
また、自筆証書遺言を法務局に保管してもらう制度もあります。
せっかく作った遺言が見つからない。
紛失してしまう。
そのような心配を減らすための制度ですが、この制度については後の回で詳しくご紹介したいと思います。
遺言を書いてみることが大切!
私は、遺言を考え始めたばかりの方に、最初から完璧な遺言を作ろうとする必要はないと思っています。
まずは、
「誰に何を残したいだろう」
「家族にどんな想いを伝えたいだろう」
と考えてみること。そして、実際、紙に書いてみることが大切です。
その想いを確実に未来へ届けるために、法律上のルールとして遺言が用意されているのです。
人生の節目に遺言について考える。
人生の節目に遺言について考える。そして、その想いを確実に未来へ届けるための、法律上の正しいルールを知る。
それは家族への想いを形にする第一歩だと私は信じています。
遺言は財産を残すためだけのものではありません。
大切な人への想いを言葉にする、家族への未来のメッセージでもあります。
次回は、
「遺言がないと不動産は共有になる? 家族が悩む『共有』の問題」についてお話ししたいと思います。


