人生の節目と遺言 ~家族への未来のメッセージ~3
第2回 30代で遺言を書くのは早すぎる?
「遺言はまだ早いですよね?」
これは、私がご相談の中でよく耳にする言葉です。
特に30代や40代の方からは、「まだ元気ですし」 「財産もそんなにありませんし」 「遺言はもっと年を取ってから考えるものだと思っています」というお話をいただくことがあります。
確かに、その気持ちはよく分かります。
一般的に「遺言」という言葉には、人生の終盤に準備するものというイメージがあるからです。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
皆さんは、生命保険にはいつ加入したでしょうか。
少し視点を変えて考えてみたいと思います。
住宅ローンを組むときには、団体信用生命保険について考えた方も多いと思います。
子どもが生まれれば、学資保険や教育資金について考える方もいます。
これらは決して、「今すぐ必要だから」準備するわけではありません。
将来、大切な人が困らないように準備しているのです。
私は、遺言も同じだと思っています。
30代は遺言について考え始めても決して早すぎる年齢ではない
もちろん、30代になったら必ず遺言を書かなければならないという話ではありません。
30代は人生が大きく変わる時期です。
結婚する人もいます。
子どもが生まれる人もいます。
住宅を購入する人もいます。
独立開業する人もいます。
親が高齢になり、介護について考え始める人もいます。
つまり、家族や財産、人との関わりが大きく変化する年代なのです。
「今の自分が何を大切にしているのか」
私は、遺言を書く意味は財産を分けることだけではないと考えています。
むしろ大切なのは、「今の自分が何を大切にしているのか」を確認することではないでしょうか。
例えば、自分にとって一番大切なものは何か。
家族にどのような人生を歩んでほしいのか。
もし今、自分の想いを伝えるとしたら何を伝えたいのか。
こうしたことを考える機会は、日常生活の中では意外と多くありません。
しかし、遺言について考え始めると、自然とそうした問いに向き合うことになります。
遺言は一度書いたら終わりではありません。
私はこれまで多くの方とお話ししてきましたが、「もっと早く考えておけばよかった」という言葉は聞いても、「早く考えすぎて失敗した」という言葉はほとんど聞いたことがありません。
遺言は一度書いたら終わりではありません。
結婚したら見直す。
子どもが生まれたら見直す。
家を買ったら見直す。
人生の変化に合わせて書き直していけばよいのです。
そう考えると、30代の遺言は完成版ではなく、人生最初の「未来へのメッセージ」と言えるのかもしれません。
「遺言は高齢者のものではなく、人生の節目に書くもの」
前回、私は「遺言は高齢者のものではなく、人生の節目に書くもの」とお話ししました。
30代はまさに人生の節目が続く時期です。
だからこそ、遺言を書くかどうかは別として、一度だけでも「自分は何を大切にしているのだろう」
と考えてみる価値はあると思います。
その時間は、きっと未来の自分と家族のためになるはずです。
次回は、
「結婚したら遺言を考えてみませんか」についてお話ししたいと思います。


