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遺言書は思い立った今が書き時

笹和也

笹和也

テーマ:遺言って必要?みんなの疑問

 「遺言書って、高齢になってから書くものですよね?」
 「まだ50代で元気だから、今は必要ないですよね?」
 遺言書に関して、このようなご質問をいただくことがよくあります。財産もそれほど多くないので、「まだ先でいい」と考えていらっしゃる方も少なくありません。
 しかし私は、遺言書は「人生の終わりの準備」ではなく、「これからを安心して生きるための準備」だと考えています。
 結論から申し上げると、遺言書は「思い立った今」が、いちばんの書き時です。その理由を、実務を通して感じてきたことも交えながらお伝えします。

遺言書は、高齢者だけのものではありません

 遺言書というと、高齢になってから書くものというイメージをお持ちの方も多いでしょう。
 けれども私は、結婚、出産、住宅購入、起業、再婚など、人生の節目を迎えたときこそ、遺言書について考えるよい機会だと思っています。
 遺言書とは、自分の財産を誰に、どのように引き継ぐのかを法的な効力をもって残す書面です。
 そして、多くの方が意外に思われますが、遺言書は何度でも書き直すことができます。
 一度書いたら終わりではありません。
 人生の変化に合わせて、その時々の想いを書き加え、見直していくことができます。
 民法では、遺言書は15歳から作成できると定められています。それだけ、自分の意思を残す権利が大切にされているということです。
 「まだ早いから書かない」のではなく、「今の想いを形にしておき、必要になれば見直す」。
 私は、そのような考え方をおすすめしています。
 最初の一歩としておすすめしているのは、自筆証書遺言です。
 自分で書くことができるため始めやすく、「まずは今の想いを書いてみる」という方には適した方法です。
 さらに法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、自宅保管による紛失や発見の遅れを防ぐことができ、家庭裁判所での検認も不要になります。安心して遺言書を残す方法として、多くの方に利用されています。
 「まだ早い」が、準備する機会を失ってしまうことがあります
私が実務を通して最も感じるのは、「元気な今だからこそできる準備がある」ということです。
 遺言書を作成するには、自分の意思で判断できる能力(意思能力)が必要です。
 認知症や脳血管疾患などによって意思能力を失ってしまうと、どれだけ「書きたかった」と思っても、新たに遺言書を作成することはできません。
 もちろん、誰もがそのような状況になるわけではありません。
 だからこそ、不安になる必要はありませんが、「元気な今だからできること」は、元気なうちに形にしておくことが大切なのです。
 遺言書は、万が一に備えるためだけのものではありません。
 「今の自分は、このように家族へ財産を引き継ぎたい。」
 その想いを、自分の言葉で残せるのは、今だからこそです。

「財産が少ないから大丈夫」とは限りません

 「うちは財産が少ないから、遺言書は必要ありません。」
 そのようなお話もよく耳にします。
 しかし、家庭裁判所が取り扱う遺産分割事件では、遺産額1,000万円以下のケースが3割を超えています。その多くに自宅などの不動産が含まれています。
つまり、問題になるのは財産の多さではなく、「分けにくい財産があるかどうか」です。
 自宅は現金のように簡単には分けられません。
 だからこそ、遺言書によって「誰にどのように引き継いでもらいたいのか」をあらかじめ示しておくことが、ご家族の話し合いを支える大きな助けになります。
 遺言書は、争いを前提とするものではありません。
 家族がお互いを思いやりながら話し合うための「道しるべ」になるものでもあるのです。

若い世代にも遺言書が役立つ場面があります

 「若いからまだ関係ない。」
 そう思われる方もいらっしゃいます。
 しかし、お子様のいないご夫婦の場合、遺言書がないと、配偶者だけで相続が完結しないケースがあります。
 亡くなられた方の親や兄弟姉妹、場合によっては甥・姪も相続人となり、遺産分割協議が必要になることがあります。
 その結果、住み慣れた自宅についても話し合いが必要になるケースがあります。
 遺言書があることで、残された配偶者の安心につながることも少なくありません。
 若い世代にとっても、遺言書は「もしものための備え」であると同時に、大切な人への思いやりを形にする方法なのです。

遺言書は「育てていくもの」

 遺言書を作成した後に、やってはいけないことがあります。
それは、人生が大きく変わったにもかかわらず、古い遺言書をそのままにしてしまうことです。
 お子様が生まれた。
 相続人が亡くなられた。
 自宅を売却した。
 事業承継の方針が変わった。
 人生にはさまざまな変化があります。
 その変化に合わせて、遺言書も見直していけばよいのです。
 私は、遺言書は完成品ではなく、「育てていくもの」だと考えています。
 人生とともに内容を見直し、その時々の想いを残していく。
 だからこそ、「完璧な遺言書を書かなければならない」と考える必要はありません。
 まずは書いてみる。
 そして人生とともに育てていく。
 それが遺言書との上手な付き合い方ではないでしょうか。
 私は少人数制の遺言作成講座で、書き方だけではなく、このような考え方もお伝えしています。

相続のカギを握るのは、実は50~60代

 遺言書の必要性を最も実感しやすいのは、実は50~60代の方かもしれません。
 親の相続を経験する世代であると同時に、ご自身も次の世代への準備を始める時期だからです。
 とはいえ、「遺言書を書いたら?」とは親御さんになかなか言い出しにくいものです。
 そんなとき、私がおすすめしているのが「実家の片づけ」をきっかけにする方法です。
 片づけをしながら思い出話をしたり、これからの暮らしについて話したりする中で、「私も子どものために遺言書を書こうと思っているよ」と自然に話題にする。
 そのような何気ない会話が、親御さんにとっても考えるきっかけになることがあります。
 当事務所では、生前整理の専門業者とも連携し、片づけから遺言書作成まで一貫してサポートしています。

私がこの仕事を続ける理由

 私がこの仕事に携わるようになった背景には、二つの実体験があります。
 一つは、町内会で独り暮らしの方がお亡くなりになり、事前の準備の大切さを痛感したことです。
 もう一つは、叔父から依頼された特別弔慰金請求のために戸籍を集めた経験でした。
 当初は一か月ほどで終わると思っていた戸籍収集が、祖父やその兄弟姉妹まで遡る必要があり、半年近くかかりました。
 長年行政の仕事に携わってきた私でさえ苦労した経験です。
 だからこそ、「もっと早く準備していれば」という思いを、ご本人にもご家族にもしてほしくありません。
 その想いが、今の仕事につながっています。

まとめ

 遺言書は、財産の多い少ないや年齢によって必要になるものではありません。
 今の想いを家族へ伝え、安心して毎日を過ごすための準備です。
 そして、一度作ったら終わりではなく、人生とともに何度でも育てていくことができます。
 思い立った今だからこそ書ける言葉があります。
 その一歩が、未来のご家族への安心につながるかもしれません。
・遺言書を作りたいが、何から始めればよいかわからない方
・お子様のいないご夫婦や、再婚などご家族の状況に不安のある方
・ご自宅などの不動産をお持ちで、将来の引き継ぎについて考え始めたい方
 札幌市中央区の「あん行政書士事務所」では、遺言書の作成から見直しまで、お一人おひとりの想いに寄り添いながらサポートしています。
 「今はまだ早いかな」と思われている方こそ、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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笹和也
専門家

笹和也(行政書士)

あん行政書士事務所

「前向きに生きるためのツール」として遺言書を捉え直し、作成・見直しまで伴走。少人数制の遺言作成講座も実施。40年の行政実務と補助金担当の経験を生かして、補助金申請、許認可申請もサポートします。

笹和也プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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