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遺言書は家族への思いやり|法律任せでは防げない相続トラブルの現実

笹和也

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テーマ:遺言って必要?みんなの疑問

「結局のところ遺言って、なんのためにあるのですか?」

相続のルールは法律で決まっているのだから、わざわざ遺言書を作る必要はないのでは——
このように感じている方は、実は少なくありません。
私も日々、遺言書作成のご相談を受ける中で、同じご質問をよくいただきます。
そのたびにお伝えしているのは、
遺言は「亡くなる準備」ではなく、残されるご家族への“思いやり”を形にするものだということです。
この記事では、「遺言はなぜ必要なのか」を、実務経験をもとに分かりやすくお伝えします。

相続は法律だけで解決する?よくある誤解

意外に思われるかもしれませんが、
法律で定められているのは、主に相続における基本的なルールや「割合(法定相続分)」にとどまります。
例えば

  • 誰が相続人になるのか
  • どのくらいの割合で分けるか

といった枠組みは決まっています。
しかし、

  • 自宅などの不動産を誰が相続するのか
  • 預貯金をどう分けるのか
  • 誰が中心となって手続きを進めるのか

といった具体的な分け方までは法律では決められていません。
そのため現実の相続では、
相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって最終的な結論を決める必要があります。
実務上は、多くの場合 誰がこの話し合いをまとめるのか」からスタートします。
ところが、ご家族それぞれの思いや事情があり、意見がぴたりと一致するケースはむしろ多くありません。
遺言書がないことで、話し合いが長期化し、トラブルになるケースは決して珍しくないのです。

遺言書とエンディングノートの違いとは?

「エンディングノートに書いてあるから、遺言はいらないのでは?」
このご質問も非常に多くいただきます。
結論から言うと、両者は全く別のものです。

遺言書

  • 法律に基づいた正式な書類
  • 内容に法的効力がある
  • 相続手続きでそのまま使える

自筆証書遺言の場合は、次の要件が必要です。

  • 全文自筆
  • 日付
  • 署名
  • 押印

(※財産目録は自筆でなくても一定条件で可能)

エンディングノート

  • 自由に書けるメモ・記録
  • 書き直しや追記が可能
  • 法的効力はない

気持ちや希望を書き残すには非常に良いツールですが、
相続の場面で意思を法的に実現する力はありません。

相続トラブルの本当の原因は「基準がないこと」

相続トラブルというと、「誰が悪いのか」という問題に見えがちです。
しかし、実務で感じる本当の原因はそこではありません。
多くのケースで問題となるのは、
「分ける基準が示されていないこと」です。
例えば:

  • 自宅を誰が引き継ぐのかで兄弟の意見が対立
  • 介護をしてきた人とそうでない人との感情的な温度差
  • 「平等」と「公平」の考え方の違い

こうした場面では、単に「割合」を示すだけの法定相続分では解決できません。

遺言書+付言事項がトラブルを防ぐ

遺言書を作成すると、

  • 誰に
  • どの財産を
  • どのように渡すのか

を明確に示すことができます。
さらに重要なのが「付言事項」です。

付言事項とは?

財産の分け方に込めた思いや理由を自由に書き添える部分です。
例えば:

  • なぜこの分け方にしたのか
  • 家族への感謝
  • 配慮してほしいこと

これを言葉として残すことで、
単なる「分配」ではなく、納得感のある相続になります。

遺言書があると手続きがスムーズになる

もう一つ、現実的なメリットがあります。
遺言内容が適切に整えられている場合、

  • 不動産の相続登記
  • 銀行口座の解約・名義変更

といった手続きがスムーズになります。
結果として、

  • 必要書類が少なくなる
  • 手続きの負担が軽くなる

など、ご家族の負担を大きく減らすことができます。

要注意|口約束は相続トラブルの原因

特に多いのが、次のようなケースです。

  • 「この家は長男に任せる」
  • 「預金は平等に分けてほしい」

こうした口約束は、
法的に有効な遺言としては認められません。
結果として、

  • 言った・言わないの争い
  • 解釈の違い

につながりやすくなります。
また、

  • 家族仲が良い
  • 財産が少ない

という理由で安心してしまうのも注意が必要です。
むしろ、
「分けにくい財産(自宅)」がある場合にトラブルは起きやすい傾向があります。

遺言書を作成すべき人の特徴

次のような方は、特に遺言書作成をおすすめします。

  • 不動産を所有している方
  • 相続人が複数いる方
  • 特定の人に多く残したい方
  • 介護などの貢献に差がある方
  • 子どもがいないご夫婦
  • 再婚している方(前婚の子がいる)
  • 家族関係に不安がある方

「まだ早い」と感じる段階でも、
早めに備えておくことがトラブル防止につながります。

まとめ|遺言書は“思いやり”を形にする手段

遺言書は、単なる法的書類ではありません。
残される家族の負担を減らし、心の行き違いを防ぐための「思いやりの形」です。
将来の安心のために、
今の意思を整理しておくことが何より大切です。

札幌で遺言書作成をお考えの方へ

  • 相続について何から始めればよいかわからない方
  • 自宅など分けにくい財産があり、家族の話し合いに不安がある方
  • 遺言を前向きな備えとして整えておきたい方

このような方は、まずは現状整理からでも大丈夫です。
札幌市中央区の「あん行政書士事務所」では、遺言書作成から見直しまで丁寧にサポートしています。
どうぞお気軽にご相談ください。

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笹和也
専門家

笹和也(行政書士)

あん行政書士事務所

「前向きに生きるためのツール」として遺言書を捉え直し、作成・見直しまで伴走。少人数制の遺言作成講座も実施。40年の行政実務と補助金担当の経験を生かして、補助金申請、許認可申請もサポートします。

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