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「遺言はまだ早い!」は本当?後悔する人の共通点

笹和也

笹和也

テーマ:遺言って必要?みんなの疑問

「遺言はまだ早いですよね?」


これは、ご相談の現場でとてもよく聞く言葉です。

しかし実務を見ていると、その“まだ早い”が後で大きな負担になるケースも少なくありません。

結論からお伝えすると、遺言は「年を取ってから書くもの」とは限りません。今回は、遺言の準備について実際によくいただく質問に、私の実務経験を踏まえてお答えしていきます。

終活の一歩として遺言を考えている方の、肩の力が少し抜けるきっかけになればうれしいです。

Q. まだ元気なのに、遺言を作るのは早すぎませんか?

A. 早すぎるということはありません。遺言とは、自分の意思を整理し、家族にきちんと伝えるための法的な準備のことです。亡くなる直前に慌てて作るものではなく、判断能力がしっかりしているうちに落ち着いて準備しておくものです。

大切なのは、年齢で判断するのではなく「今の自分に必要かどうか」で考えることです。遺言は15歳以上であれば作成でき、しかも何度でも書き直せます。今ある財産について書けるうちに書いておき、家族構成や財産の状況が変わったら、その都度見直していけばよいのです。最初の一通を、人生の終盤まで待つ必要はありません。

Q. 昔は「家族で話せば自然に決まる」。今は違うのですか?

A. かつての日本には、家督相続という「家」を中心に財産や立場を承継する考え方がありました。家督相続とは、家の跡継ぎが財産や地位をまとめて受け継ぐという、かつての制度上の仕組みのことです。

制度としてはすでに廃止されていますが、その名残として、今でも「長男が継ぐもの」「家族で話せば自然に決まる」という感覚が一部に残っています。

しかし、現代は家族のかたちも価値観も大きく変わりました。子どもがそれぞれ別の地域で暮らしている、再婚や子連れ婚で家族関係が多様になっている、子どものいないご夫婦が増えている、財産が不動産や預貯金、事業、株式などと複雑になっている。こうした状況では、昔のように「言わなくても分かる」「自然にまとまる」とは限りません。

私が実務で感じるのは、相続でもめる原因は財産の多い少ないよりも「故人の意思が見えないこと」にあるということです。だからこそ遺言は、高齢者だけのものではなく、現代の家族に合った意思表示の道具として考える必要があると思っています。

Q. 遺言の準備で、避けた方がよいことはありますか?

A. はい、いくつかあります。実務でよく見かけるものを挙げておきます。
まず、「まだ早い」と思って先延ばしにすることです。遺言は判断能力がしっかりしているときに作ることが何より重要です。「そのうち書こう」と思っているうちに、認知症が進んで思うように作成できなくなることがあります。

次に、自己流で曖昧な内容を書いてしまうことです。遺言は気持ちを書くだけでは足りず、法的に有効な形式や表現が必要です。誰に、何を、どう承継させるのかが曖昧だと、かえって争いの火種になることがあります。

また、財産の整理もしないままにしておくことも避けたいところです。財産の把握や家族関係の整理をせずに作ると、内容が現実に合わず、実行しづらい遺言になってしまいます。
例えば、長男に相続させるはずの不動産が祖父名義のままだったケースでは、その前段階として別の遺産分割協議が必要になり、手続きが大きく遅れてしまいます。

そして、「家族仲が良いから大丈夫」と思い込むこと。仲の良いご家族でも、相続が始まると立場や事情の違いから考えが分かれることがあります。ちょっとしたことから、家族同士が疑心暗鬼となり、疎遠となります。遺言は、家族を困らせないための備えなのです。

Q. 「うちは関係ない」と思っているのですが、誤解でしょうか?

A. とてもよくある誤解です。代表的なものを整理してみます。
「遺言は高齢者だけのもの」という誤解。実際には年齢だけで必要性は決まりません。子どものいないご夫婦、再婚家庭、特定の人に多く残したい方、事業や不動産をお持ちの方などは、比較的早い段階から検討する意味があります。

「財産が少ないから遺言はいらない」という誤解もよく耳にします。もめる原因は必ずしも財産額ではありません。むしろ不動産が一つだけある、預金の分け方で意見が分かれる、といったケースの方が調整が難しいこともあります。

家庭裁判所が扱う遺産分割事件のうち、遺産額1,000万円以下が3割を超え、そのうち不動産を含むケースが約7割というデータもあります。(出典:令 和 6 年 司 法 統 計 年 報 3 家 事 編)「うちは財産が少ないから」という思い込みは、少し脇に置いてよいと思います。

そのほか、「家族で話しているから十分」という誤解もあります。口頭で伝えていても法的な効力は基本的になく、「言った・聞いていない」の食い違いが起きやすいため、意思は形に残しておくことが大切です。

そして「一度作ればもう安心」という誤解。遺言は一度作ったら終わりではなく、家族構成や財産内容の変化に応じて見直しが必要になります。

Q. 自分が、早めに動いた方がよいタイプか知りたいです。

A. 次のような方は、特に早めのご相談をおすすめしています。

・子どものいないご夫婦
・再婚で前婚の子・現婚の家族がいる方
・不動産をお持ちの方
・家業や会社経営をしている方
・特定の子に多く残したい事情がある方
・介護をしてくれた家族に配慮したい方
・相続人同士の関係に不安がある方
・独身で兄弟姉妹が相続人になる可能性がある方

「まだ具体的に決めていないけれど、気になっている」という段階でも、ご相談いただく意味は十分にあります。遺言は完成させることだけでなく、考えを整理する過程そのものに価値があるからです。

実際、私が遺言のサポートに力を入れるようになったのも、自分の身近な経験がきっかけでした。叔父に頼まれて戸籍を集めたとき、行政で長く仕事をしていた私でさえ半年近くかかったのです。慣れない方ならなおさら大変だと痛感し、お手伝いできればという思いで取り組んでいます。

少しずつ準備を進めたい方のために、あん行政書士事務所では少人数制の遺言作成講座も開いています。形式的な書き方だけでなく、財産の残し方の考え方までお伝えしています。詳しくはホームページもご覧ください(https://office-an.net/)。

まとめ

遺言は「死の準備」ではなく、今の自分を整理し、家族への思いやりを形にする前向きな備えです。遺言を残してもらってよかった。そう感じていただける準備を、一緒に進めていきましょう。

このような方は、特に一度ご相談ください

・遺言を考え始めたが何からよいか分からない方
・子どものいないご夫婦や再婚家庭の方
・不動産や事業をお持ちで承継に不安がある方

そう感じている段階でもご相談いただく価があります。 初回相談で方向性を整理するだけでも大きな一歩です。

遺言や相続のご相談は、札幌市のあん行政書士事務所へお気軽にお寄せください。

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笹和也
専門家

笹和也(行政書士)

あん行政書士事務所

「前向きに生きるためのツール」として遺言書を捉え直し、作成・見直しまで伴走。少人数制の遺言作成講座も実施。40年の行政実務と補助金担当の経験を生かして、補助金申請、許認可申請もサポートします。

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