【悪質】ハラスメントの先にある「セカンドハラスメント」

越田雅人

越田雅人

テーマ:ハラスメント

「人が定着しない」「いつでも求人を出している」「担当者が何回も変わる」
このような会社で起きていることが多いのが「セカンドハラスメント」です。
ハラスメントの中でも非常に悪質なハラスメントと言えます。

1.セカンドハラスメントとは?


セカンドハラスメントとは、社内の特定の人間のハラスメント行為、違法行為や不祥事を
会社に伝えたのちに、その行為者が告発者に対して報復行為を行うことです。

簡単に言えば、告発者への仕返しです。

 ・お前(告発者)のせいで社長に怒られた、どういうつもりだ!
 ・お前(告発者)のような奴がいるとチームワークが乱れる
 ・俺のいうことに文句があるなら他の会社へ行け!
 ・お前(告発者)のノルマを増やしてやる
 ・これからは会議に参加するな
 ・次は許さないぞ!

など、行為者が自身の行動の反省もせず、告発者に嫌がらせの言葉、恫喝、無視や
情報共有しないなど、当初のハラスメントより更にエスカレートしたハラスメント行為
再び告発者に向けられる事がセカンドハラスメントです。

パワハライラスト.2

2.セカンドハラスメントの起きる職場の特徴


本来、このような告発に対する報復行為はあってはならないものですが
・規模の小さい会社
・地方の支社・営業所
・物流や製造拠点
・店舗
・就業規則不備(ハラスメント等規定・罰則規定がない)の会社
・コンプライアンス意識の低い会社

などで起こることが多いと感じます。
本社(経営者)の目の届きにくい拠点で、
かつ社歴が長く経営者や拠点長に信用のある管理職や
ベテラン社員がこのハラスメントを起こしがちです。

大企業やハラスメント体制が確立している企業ではハラスメント事件が発生すると、
行為者と被害者の両方にヒアリングし、事実確認を行い、行為者への注意や処分の後に
両者または片方を別の部門に移動させることでセカンドハラスメントの発生を予防します。
しかし、規模や地域的な問題のある職場では、事件の後でも行為者と被害者が
同じ部署で働かざるを得ないことが多いため、セカンドハラスメントが起きがちです。

就業規則でハラスメント行為禁止条項が無い、罰則規定が無いか運用が適切でない
(緩すぎる)場合は、被害者が勇気を持って行為者のハラスメント等行為を会社に告発しても、
当事者は軽く注意を受けるだけで行動を改めることは多くありません。

3.セカンドハラスメントを受けた社員は・・・

残念ながら、セカンドハラスメントを受けた従業員はその会社を退職することが多く、
メンタル系の疾患を患うことも珍しくはありません。

離職する理由が行為者にあることは間違いありませんが、事件の発生直後から事後の対応全般で
会社(経営者)が適切な行動をしなかったことで「この会社は信用できない」
「この会社にいても良い事は無い」といった判断をする方がほとんどです。
また、被害者の周りにいると従業員も被害者と同じ気持ちを持つため、
離職が連鎖する可能性も高まります。

4.セカンドハラスメントの防止


セカンドハラスメントが起きてしまうと、世間にはブラック企業と思われてしまいます。
最初のハラスメントを防止できなかったことに加え、報復を許してしまうことは
企業(経営者)の質を疑われ、採用もままならなくなります。
SNSで内容を公開されて、業績に影響する例も散見されます。

一般的には社員に向けてハラスメント研修を定期的に行い、
知識をつけていくことでハラスメントは減少しますが、
報復を行うような社員は研修を受けても行動はほぼ変わりません。
研修を受けても自分自身がハラスメントをしている自覚が無い人

研修内容を自分に置き換えることができないことが多いです。
また、経営者がハラスメントを軽く考えている可能性もありますし、
元からの会社風土(古い体質)も影響します。

2022年4月にパワハラ防止法が施行され、全ての会社にパワハラ対策が義務付けられました。
この法は経営者及び労働者の責務が明確化され、
パワハラ防止のための措置義務が明記されました。
これを機会に「経営陣の意識改革」を含めて社内体制を整え、パワハラだけでなく、
セクハラ・マタハラ・育児介護ハラも起こさない企業体質づくりを進めることが必要です。

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越田雅人
専門家

越田雅人(コンプライアンスマネジメント)

株式会社コンプラ・マネジメント

製薬メーカー各部署(営業、マーケ、法務、総務、コンプライアンス)での活動と業界団体委員会活動など、内外から課題を捉えてきた知見をもとに、企業や団体の風通しの改善とコンプライアンス体制構築・運用を支援。

越田雅人プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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