自治体技術職のDXは「疲れ知らずの副担当」から。生成AIで事務ミスを防ぎ、技術を繋ぐ

濱田金男

濱田金男

テーマ:生成AIによる業務効率化

建設工事の積算、膨大な検査資料のチェック、そしてベテラン職員の退職に伴う「技術継承」の停滞。地方自治体の技術職の皆様が日々直面しているこれら課題は、組織の信頼を左右する極めて重要なものです。

「DXと言われても、現場作業や専門的な積算業務にAIが入り込む余地なんてあるのか?」
そう思われるかもしれません。しかし、現在多くの自治体で導入が進んでいる生成AI(Microsoft Copilotなど)は、高額な専用ソフトを導入せずとも、今日からあなたの「有能な副担当」として事務負担を劇的に減らしてくれるツールなのです。

今回は、技術研修の知見を元に、自治体の技術現場で「スモールスタート」できるAI活用術を解説します。

1. なぜ、今「技術職」に生成AIが必要なのか?
自治体の技術業務は、些細な数値ミスが予算執行や市民の安全に直結します。
しかし、人間は疲れますし、数百ページに及ぶ設計図書や積算表を前にすれば、どうしても「思い込み」や「見落とし」が発生します。

資料の中でも強調されている通り、AIを「疲れ知らずの副担当」として位置づけることが重要です。AIに「単純な照合や形式チェック」を任せることで、人間は「設計の妥当性」や「現場の安全管理」といった、人間にしかできない高度な判断に集中できるようになります。

2. 自治体技術現場の課題:多忙な事務と技術の属人化
多くの自治体庁舎・現場では、以下のような課題が山積しています。
●積算・チェックの重圧: 限られた期間内に、一字一句のミスも許されない書類作成を完遂しなければならない。
●技術のブラックボックス化: 「工事のコツ」や「過去のトラブル対応」がベテラン個人の経験に依存し、若手への継承が追いつかない。
●基準書・マニュアルの迷宮: 膨大な基準書から必要な一節を探し出すだけで、多大な時間を浪費している。

これらを「集中力の維持」という個人の努力だけで解決するのは、もはや限界があります。

3. 明日から庁内で始める「AI活用」の3ステップ
特別なスキルは不要です。まずは以下の3つのステップで、CopilotなどのAIチャットツールを使いこなしてみましょう。

ステップ①:一秒監査(積算・書類チェックの自動化)
積算表や報告書のテキストをコピーしてAIに貼り付け、「不整合や記載ミスがないか確認して」と指示します。人間なら数十分かかる数値の整合性確認も、AIなら「一秒」で矛盾を指摘してくれます。

ステップ②:暗黙知の言語化(技術継承のデジタル化)
ベテラン職員へのヒアリングを音声入力などで文字起こしし、AIに「この工法の注意点を、若手向けの研修資料として整理して」と依頼します。AIは情報の構造化が得意なため、職人的な感覚を論理的なマニュアルに変換してくれます。

ステップ③:RAG(過去事例・基準書の検索)の活用
過去のトラブル事例集や設計指針(PDF)をAIに読み込ませ、「今回の現場条件に似た過去の不具合事例はある?」と問いかけます。過去の知見が「埋もれたデータ」から「生きた知識」に変わります。

4. 実務で使える!自治体技術職向けプロンプト例
今日からコピー&ペーストで使える、具体的な指示の例です。
【活用シーン:積算数値の論理チェック】
あなたは自治体の優秀な工事監督員です。以下の積算内訳データを確認し、単価の入力漏れや、合計数値の計算に不整合がないか、厳格に精査して箇条書きで報告してください。
(積算データを貼り付け)

【活用シーン:市民向け説明資料の作成】
あなたは都市計画の専門家です。以下の専門的な「工事説明資料」を読み取り、専門用語を一切使わず、中学生でも理解できる「近隣住民向けの工事案内文」を1,000文字程度で作成してください。
(資料を貼り付け)

まとめ:失敗を未来の「知」へ変える
AI導入の成功の鍵は、「AIを過信せず、対話を楽しむこと」です。AIは100点満点の答えを出す魔法ではなく、やり取りを通じて答えを洗練させていく「相棒」です。

生成AIは、職員をミスから守り、守り抜いてきた技術を次世代へ繋ぐ「盾」となります。まずは、デスクの上にある膨大な書類のチェックから、AIに手伝わせてみませんか?

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

ものづくり現場の品質管理、人材育成のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ群馬
  3. 群馬のビジネス
  4. 群馬の人材育成・社員研修
  5. 濱田金男
  6. コラム一覧
  7. 自治体技術職のDXは「疲れ知らずの副担当」から。生成AIで事務ミスを防ぎ、技術を繋ぐ

濱田金男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼