中国の不思議?なぜ不況の中で経済成長を続けられるのか
この記事は、世界経済の構造変化と日本が直面している深刻な危機、そしてそれに
対する個人の生存戦略について解説したものです。
1. 世界経済の覇権交代とG7の没落
かつて世界経済を支配していたG7のシェアは、1980年代の約7割から現在は3割を切るまで低下し、購買力平価(PPP)ベースでBRICSに逆転されました。
インドやブラジルなどの「グローバルサウス」諸国は、豊富な資源と労働力を武器に、西側諸国(G7)の合意に頼らない独自の経済圏を形成し始めています。特にウクライナ危機以降、ドルの武器化を恐れたこれらの国々による「ドル離れ」と実物資産(金など)への回帰が加速しています。
2. 日本が直面する「構造的」な危機
日本は資源を持たない島国であり、エネルギーと食料を海外に依存しているため、世界的な分断において最も脆弱な立場にあります。
• 「買え負け」の現実: 円の購買力低下とグローバルサウスの台頭により、資源を買い負ける事態が起きており、これが国内の製造業の基盤を揺るがしています。
• 稼ぐ力の低下: かつての加工貿易モデルが崩れ、貿易赤字が状態化しているため、金利を上げても円安が止まらない構造的な問題に陥っています。
• スローモーションの破綻: 預金封鎖のような劇的な形ではなく、給料が変わらないまま物価だけが上がり、生活の質がじわじわと低下する「見えない没収」が進行しています。
3. 政府・日銀の政策的限界
日本政府と日銀は、「金利を上げれば不況・債務破綻、下げればインフレ・円安」という究極のジレンマ(トリレンマ)に陥っています。
• 日銀が利上げを行えば、変動金利の住宅ローン破綻や政府の利払い費増大を招くため、思い切った舵取りができません。
• 政府の債務もGDP比260%を超えて最悪の水準にあり、ばらまき政策も限界を迎えています。
4. 日本の新たなアイデンティティ
日本は「経済大国」としてのプライドを捨て、「課題解決先進国」や「ブリッジ・パワー(架け橋)」としての役割を目指すべきだと提言されています。
• 欧米からもグローバルサウスからも信頼される「信頼(トラスト)」という無形資産*を武器に、分断される世界を繋ぐ存在になることが、新たな生き残り戦略となります。
• 物質的な拡大競争から降り、精神的な豊かさやコミュニティを重視する「品格ある成熟」が求められています。
日本は、現状を「茹でガエル」の状態であると警告しつつも、危機を直視し変化に適応することで、新しい時代の生き方が見えてくると考えられます。
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では、世界経済の構造がG7(先進国)中心からグローバルサウスへと移行し、日本の「稼ぐ力」が構造的に低下する中、国家や組織に依存せず個人が生き抜くための考え方と行動を、5つの戦略でまとめます。
1. 通貨分散による「資産の防衛」
日本に住み、すべての資産を円で持つことは、日本の国力低下と心中するリスクを孕んでいます。
• 円一辺倒からの脱却: 給与、預金、保険、不動産などがすべて円建てである現状をリスクと捉えるべきです。
• 分散先の確保: 資産の価値を守る防波堤として、米ドルなどの強い通貨、金(ゴールド)のような無国籍通貨、あるいは全世界株式(オールカントリー)への分散投資が不可欠です。これは、過去にハイパーインフレを経験したアルゼンチンやトルコの市民が本能的に行ってきた生存戦略と同じです。
2. 「稼ぐ力」のトランスフォーメーション
インフレ下では現金の価値は目減りしますが、個人のスキルや人的資本は価値を失いません。
• 外貨を稼ぐ視点: クラウドソーシング、ECでの海外販売、インバウンド需要の取り込みなど、円安を味方に変えて外貨(または外貨連動の価値)を稼ぐ力を身につけることが重要です。
• ポータブルなスキルの獲得: どの国や通貨圏でも通用する「持ち運び可能なスキル」こそが最強の安全資産となります。
• AI時代への適応: 先の会話でも触れた通り、AIの進化に対し、人間にしかできない創造性、共感、複雑な問題解決能力を磨くことが求められます。
3. 家計の「リーン(身軽)化」と共有
経済ショック時に最も危険なのは、固定費に縛られて身動きが取れなくなることです。
• 固定費の削減: 住宅ローン、過剰な保険、見栄のためのサブスクリプションを徹底的に見直し、身軽な状態を作っておくことが生存率を高めます。
• 所有から共有へ: 車や高価な道具を所有するコストを下げ、シェアリングエコノミーを活用することは、資源高の時代における合理的な適応です。
4. 「無形資産(信頼・コミュニティ)」の蓄積
金融資産は暴落する可能性がありますが、誰にも奪われない資産を築くことが最後のセーフティネットになります。
• コミュニティの価値: 貨幣経済が機能不全に陥った際、最後に頼りになるのは近隣住民との助け合いや、信頼できる仲間との互助関係です。スキルや物を交換し合える関係性は、歴史的にハイパーインフレを生き抜いた国々で共通して見られた光景です。
• 健康と知識: 自ら一次情報に当たり、歴史や経済の原理原則を学ぶ「知的独立」こそが、混乱期における正しい羅針盤となります。
5. 「成熟した個人」としてのマインドセット
「経済大国・日本」という過去のプライドは、変化への適応を遅らせる重荷になりかねません。
• 変化をゲームとして捉える: 生き残るのは、最も強い者でも賢い者でもなく「変化できる者」です。日本が「安くなった」ことを嘆くのではなく、それを逆手に取ってビジネスを始めるような柔軟な思考が求められます。
• 物質的拡大から精神的豊かさへ: 規模の大きさで他国を圧倒するのではなく、精神的に自立し、独自の文化や美意識を持って他者と調和する「品格ある生き方」を目指すべきです。
私たちは、国家という船が沈みかけている時、乗客として文句を言うのではなく、自ら救命胴衣(外貨、スキル、コミュニティ)を確保し、新しいルールで生き抜くクリエイティブな挑戦を始めることが、今、日本人個人に課せられた最大の生存戦略です。



