中国経済が「歴史的崩壊」に向かっている現状と、それを裏付ける六つの末期症状
フィジカルAI(Physical AI)とは、デジタル空間のAIが現実世界の身体(ロボット
やモビリティ)を持ち、センサーやカメラを通じて物理的な作業を行う技術のこと
です。「AIの頭脳」と「ロボットの身体」の融合領域であり、次世代の産業競争の
主戦場と目されています。
日本、米国、中国の動向を以下にまとめました。
1. 米国 :圧倒的な「頭脳」で物理世界をハックする
米国はOpenAIやGoogleなどが開発する世界最高峰のAIモデル(頭脳)を物理世界
に応用するアプローチで先行しています。
自動運転: Waymo(Google系)やTeslaが主導。特にサンフランシスコなどでの
無人タクシー(Robotaxi)の実用化が進んでおり、「まずは公道で走らせてデータ
を取る」という実践的な開発が行われています。
ヒューマノイド: Teslaの「Optimus」やBoston Dynamicsなどが牽引。AIの学習
能力を活かし、複雑なタスクをこなす汎用ロボットの開発に注力しています。
2. 中国 :政府主導の「量」と「スピード」で覇権を狙う
中国は「中国製造2025」などの政策下で、フィジカルAIを国家戦略の中核に据えて
います。特許出願数では世界トップを独走しています。
サプライチェーンの支配: EV(電気自動車)で培ったバッテリーやモーターの供給
網をロボットに転用し、低価格・大量生産を実現しています。
自動運転: 国民の受容性が非常に高く(肯定派が90%超という調査も)、北京や上海
などで完全無人タクシーが商用運行されています。
ヒューマノイド: Unitree(宇樹科技)などが、非常に安価で高性能なロボットを
市場に投入し、価格破壊を起こしています。
3. 日本:「現場力」を武器に巻き返しを図る
日本はAI活用率や社会実装スピードで米中に遅れをとりましたが、「産業用ロボット
のシェア」と「良質な現場データ」という大きな遺産があります。
フィジカルAI構想: 政府は「実世界のデータ(工場の稼働データ、介護の身体データ
など)」を日本の勝ち筋と定義。サイバー空間のデータ勝負では米中に勝てないため、
物理空間のデータで勝負する戦略です。
ハードウェアの信頼性: ファナックや安川電機などの産業用ロボット、あるいはキヤ
ノンなどのセンサー技術は依然として世界トップクラス。これらにAIを組み込むこと
で「失敗が許されない現場(医療、精密製造)」でのニッチトップを狙います。
課題: 技術はあるものの、法規制や慎重な国民性により、自動運転などの社会実装
スピードが遅い点がネックとなっています。
今後の展望
今後は「AIの頭脳(米)」×「量産ハード(中)」×「精密制御・現場データ(日)」
という構図の中で、どこがプラットフォームを握るかが焦点となります。
日本としては、単なるハードウェアの下請けにならず、「日本の現場データがない
とAIが賢くならない」という状況を作れるかが、再浮上の鍵になります。
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以下は、経営共創基盤(IGPI)の代表取締役CEO、塩野誠氏のインタビューより
フィジカルAI(ロボットにAIを搭載する技術)についての内容をまとめました。
1. 「フィジカルAI」は日本の救世主にはならない?
現在、産業界で期待されている「フィジカルAI(ロボットにAIを搭載する技術)」。
日本が得意とするハードウェアとAIを組み合わせれば、日本が再び世界の覇権を
握れるという説がありますが、塩野氏はこれに懐疑的です。
自動運転が本命: フィジカルAIの最前線は、実はすでに「自動運転」で展開されて
います。しかし、この分野で日本が世界トップを走っているかといえば、残念ながら
米中に先行を許しているのが現状です。
ヒューマノイドの「電気食い」問題: 人型ロボットが注目されていますが、実は
「立っているだけで電力を消費する」という非効率な側面があります。人間が
「おにぎり一つで一日動ける」のに比べ、エネルギー効率の面で実用化にはまだ
高い壁があります。
2. コンサル・ホワイトカラーに迫るAIの波
コンサルティング業界でもAI(LLM)による革命が起きています。
リサーチの劇的短縮: 従来、若手コンサルタントが1週間かけていたリサーチや
分析が、AIを使えば数分で終わる時代になりました。
「DX」から「AI実装」へ: これまでの「とりあえずデジタル化(DX)」という
フェーズは終わり、2026年には「そのAI投資にどれだけの効果(ROI)があったか」
が厳しく問われるようになります。
3. 「防衛テック」と政府主導経済の加速
三菱重工などの防衛関連銘柄が急騰していますが、この流れは2026年もビジネス
の大きな潮流となります。
地経学の時代: 国際政治の緊張がダイレクトにビジネスに影響するようになりました。
サプライチェーンの中に「バックドア(悪意あるプログラム)」がないかを確認する
ような、安全保障の視点が経営に不可欠になります。
官民一体のプロジェクト: ラピダスに代表されるような、政府が巨額の予算を投じ
て産業を育成する「ターゲット政策」が主流になりますが、これには政権交代に
よる方針転換などのリスクも伴います。
4. 日本企業のガバナンスと「PEブーム」
近年、日本企業がアクティビスト(物言う株主)を避け、非公開化(MBOなど)を
選ぶケースが増えています。
プライベート・エクイティ(PE)の台頭: アクティビストに口出しされるくらい
なら、PEファンドと組んで中長期的に改革を進めようという動きです。
「なんちゃって社外取締役」の淘汰: 数合わせのための社外取締役ではなく、経営
に対してリスクを指摘し、付加価値を与えられる真のプロフェッショナルが求め
られる「二極化」が進みます。
2026年に向けてのまとめ
2026年の日本ビジネスは、「世界的なテクノロジーの進歩」と「日本の構造的な遅れ
(タイムラグ)」の差をどう埋めるかが鍵になりそうです。
経営者には、単なるIT知識だけでなく、国際情勢を読み解くセンスや、中長期的な
ビジョンに資金を投じる「覚悟」がこれまで以上に求められる時代になるでしょう。



