事務部門の業務に応用できる基本的な15種類のAI活用事例

濱田金男

濱田金男

テーマ:生成AIによる業務効率化

AIの活用は、「24時間文句を言わず、どんなに細かい雑用も即座にこなす、自分専用の超優秀な事務局チーム」を雇っているようなものです。

各専門(リサーチ、校正、スケジュール管理、健康管理など)の担当者が一瞬で仕事を終わらせてくれるため、本人はより高度な法的判断や人間関係の構築に集中できるようになります。

以下に、DeNA社が公開した「AI活用100本ノック」の資料をベースに、事務部門の業務に応用できる15種類のAI活用例を示します。

1. AIの人格を自分好みに変更する AIに特定の口調や性格(例:柔らかい物腰、結論のみを述べるなど)を設定することで、対話のストレスを減らし、意図した出力を得やすくします。

2. プロンプト(指示文)自体をAIに作ってもらう 自分が書いたプロンプトをAI(Geminiなど)にレビューさせ、改善案を出させることで、指示の質を向上させます。

3. 誤字チェック・文書改善提案 スライドや書面(準備書面、内容証明など)の誤字脱字、専門用語、表記の揺れをAIに目視の代わりにチェックさせます。

4. 新旧文書の比較対照 契約書の修正前後や、社内規定の改定前後のPDFを読み込ませ、変更箇所を抽出して新旧対照表を作成します。

5. 文書の質や形式の一定化(標準化) 「Gem(ジェム)」機能などを使い、特定の書き方やルールを共有することで、誰が作成しても一定のクオリティの文書ができるようにします。

6. 予定入力の効率化 イベントのチラシの写真やスクリーンショットをAIに送るだけで、Googleカレンダーへ自動的に予定を登録します。

7. Google ドライブ上での情報検索 大量のPDF資料の中から、特定の情報について質問することで、内容に基づいた検索や要約を行います。

8. 証拠の整理や情報の抽出 診療報酬明細書から通院日数や治療費を抽出したり、通帳のデータから特定の取引を一覧化したりして整理します。

9. リサーチの効率化 「ディープリサーチ」機能を用い、複数のサイトを網羅的に検索して、法令や行政の対応状況などの調査結果をまとめます。

10. 知識習得や理解の効率化(NotebookLMの活用) 法令やガイドラインのURLを読み込ませ、要約させたり、ポッドキャスト形式(音声)で解説させたりして理解を深めます。

11. 事務所内の質問回答チャット作成 事務所独自のルールやマニュアルをAIに学習させ、新人やスタッフがいつでも業務上の疑問を解消できるチャットを構築します。

12. 口頭説明のテキスト化とマニュアル作成 Google Meetなどでの口頭説明を文字起こしし、そのデータから業務マニュアルを自動作成します。

13. 議事録作成の効率化 会議の文字起こしデータをNotebookLMに蓄積し、議事録の作成、タスクの整理、過去の議論の参照を容易にします。

14. 資料・スライド作成の効率化 AIと対話しながらスライドの構成(アウトライン)を作成し、それをもとに資料作成の手間を削減します。

15. 健康管理 自身の体重や目標を設定したAIを「専用パーソナルトレーナー」として使い、食事メニューのアドバイスやモチベーション管理に役立てます。

このようなAIの活用法は、単なる作業の効率化を超えて、「業務の品質管理」「知見の継承」「個人の負担軽減」といった多角的な効果をもたらします。

具体的な効果は以下の通りです。
1. 業務の劇的な効率化と「単純作業」からの解放
手作業で行うと膨大な時間と手間がかかる業務をAIに任せることで、本来注力すべき高度な業務に時間を割けるようになります。
①目視チェックの代替
 大量の資料の誤字脱字や専門用語のチェック、表記の揺れの統一をAIが行う
 ことで、人間が目視で確認する手間を大幅に削減できます。

②事務作業の自動化
 写真やスクリーンショットからの予定入力、診療報酬明細書や通帳からの
 データ抽出・一覧化など、データ入力や整理の作業が瞬時に完了します。

③リサーチの網羅性向上
 「ディープリサーチ」などを使うことで、複数のサイトを横断的に調査し、
 結果をまとめるまでの時間を大幅に短縮できます。

2. 品質の標準化と属人化の解消
「誰が担当しても一定のクオリティを保てる」状態を作ることで、組織として
の信頼性を高めます。
①文書の質の統一
 個人ごと、組織ごとに異なる「書き方の癖」や「丁寧さ」をAIによって型
 (プロンプト)に沿ったものに修正でき、チーム全体で文書の品質を一定に
 保てます。

②ミスの防止
 契約書の新旧対照表作成など、人間が行うとミスが発生しやすい比較作業の
 精度を高め、品質を安定させます。

3. 教育・オンボーディングの効率化と知見の蓄積
新しいスタッフの教育コストを下げ、事務所のノウハウを資産化できます。
①マニュアル作成の負担軽減:
 高等説明を文字起こししてドキュメント化したり、引き継ぎ動画からマニ
 ュアルを作成したりすることで、言語化の手間をかけずに教育資料を整備
 できます。

②自律的な学習
 事務スタッフが作成した文章をAIに添削・書き換えさせることで、スタッ
 フ自身が「適切な書き方」を自学自習する環境を作れます。

③「迷う時間」の削減
 事務所独自のルールを学習したチャットを構築することで、新人が「誰に
 何を聞けばいいか分からない」という停滞をなくせます。

4. 心理的ストレスの軽減と労働環境の改善
AIを使いやすくカスタマイズしたり、情報共有を円滑にしたりすることで、
日々の業務ストレスを減らします。
①対話の最適化
 AIの人格を自分好みに設定(柔らかい物腰や結論のみの回答など)すること
 で、AIとのやり取りで感じるストレスを最小限に抑えられます。

②情報共有の円滑化
 会議の議事録を自動作成し、NotebookLMなどにストックすることで、欠席
 者への共有や過去の議論の参照が容易になります。

5. 仕事以外のパフォーマンス向上
健康管理にAIを活用することで、プロフェッショナルとして働き続けるための
基盤を整えられます。
①パーソナライズされた健康維持
 自分専用のトレーナーとしてAIを使うことで、専門知識がなくても効果的な
 トレーニングや食事管理が可能になり、モチベーション維持にもつながります。

これらの効果を例えるなら、「自分の脳と手足が、デジタル空間に何人もコピーされ、それぞれが24時間体制で完璧に連携して働いている」ような状態です。

一人のコピーは過去の資料を整理し、一人は文書のミスを探し、もう一人は新人の質問に答えるといった役割をこなすため、自分自身(オリジナルの脳)は、もっともクリエイティブで重要な判断を下すことに専念できるようになるのです

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