日本が中国に替わってアジアの覇権国家?地政学者が予測する2030年の世界覇権地図と日本の戦略とは?

濱田金男

濱田金男

テーマ:日本の未来を考える

【激震の2030年】地政学の天才が描く未来地図:大国衰退の後の「戦国時代」を日本はいかに生き抜くべきか

世界は今、まさに激動の時代に突入しています。ジョージ・フリードマン(影のCIAとも呼ばれる世界最大級の民間情報機関ストラトフォーの創設者)のような地政学の天才が描く未来地図は、私たちが知る世界の常識がすでに崩壊に向かっていることを示しています。

冷徹な分析官であるフリードマンは、国家の行動はイデオロギーや善悪ではなく、その国の地理(ジオグラフィー)によって決定されるというシンプルかつ残酷な地政学(ジオポリティクス)のレンズを通して未来を見通します。
この視点から見た2030年の世界構造、そして私たち日本が取るべき国家戦略と個人防衛術について解説します。
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第1章:2030年、世界は「他極化の戦国時代」へ
フリードマンの衝撃的な予言は、まず「アメリカの覇権は終わる」という断言から始まります。これはアメリカが戦争で敗北し崩壊するという意味ではなく、アメリカが自ら「世界の警察官」をやめるという意味です。

アメリカは地理的に世界で最も安全な国です。かつてソビエト連邦という強大な敵がいたため、世界中に軍隊を派遣する必要がありましたが、ライバルが消えた今、莫大なコストと兵士の命を失ってまで遠い外国の戦争に介入する理由がなくなりました。アメリカは世界の覇権への興味を失い、より内向きになっていきます。
このアメリカの撤退こそが、次の時代の激動の引き金です。

<伝統的な大国の衰退と変化>
多くの人が次の覇権国と考える中国や、かつての大国ロシアも、次世代のリーダーにはなれないとフリードマンは断言します。

(1)中国の地理的な呪いと内部崩壊リスク
中国の海は日本、台湾、フィリピンといった島々によって完全に蓋をされており、太平洋に自由に出られないという致命的な弱点を抱えています。さらに、一人っ子政策による急激な少子高齢化と、沿岸部と内陸部の修復不可能なほどの内部格差という「二つの時限爆弾」を抱えており、「豊かになる前に老いていく」リスクを抱えています。

(2)ロシアの最後の賭け
ウクライナ侵攻は、ヨーロッパからの侵攻という地理的な恐怖に怯えてきたロシアによる、干渉地帯(緩衝材)を西側に奪われることへの最後の抵抗です。しかし、深刻な人口現象とエネルギーに頼りきった古い経済では、もはや帝国を維持する力は残っていません。

世界は、一人の絶対的な王者が支配する一強時代の終わりを迎え、各地に力を持った地域大国が誕生し、互いに争い合う「多極化」、すなわち戦国時代へと突入します。力の空白が生まれた場所では、必ず新たな紛争が頻発し、世界は不安定化します。

(3)アメリカの新しい戦略:「分割統治」(バランス・オブ・パワー)
内向きになったアメリカは、この戦国時代をただ傍観するわけではありません。アメリカは、かつてイギリスが世界を支配した際に用いた戦略「バランス・オブ・パワー」、すなわち分割統治を採用します。

アメリカは直接軍隊を送らず、対頭する地域大国たちをうまく利用します。ある国が強くなりすぎた場合、そのライバル国に武器や経済支援を与えて争わせることで、どの国もアメリカを脅かすほど強くなることを許しません。アメリカはこの地域大国同士の争いを利用し、自国の優位性を保ち続けるのです。
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第2章:新たに台頭する「地域大国」の正体
アメリカが仕掛ける分割統治の世界で、新たに頭角を現す地域大国には、地理的優位性を持つ国々が選ばれています。

<地域大国:特徴と地理的優位性>
(1)ポーランド(ヨーロッパ)
西にドイツ、東にロシアという脅威の最前線に位置しており、ロシアを抑え込むための「新しい盾」としてアメリカから強力な支援を受けています。急速な軍備増強を進め、ドイツやフランスに代わりヨーロッパの新しい軍事大国として君臨すると予測されています。

(2)トルコ(中東)
アジアとヨーロッパをつなぐ交差点、地中海、黒海、中東、中央アジア全てにアクセスできる「最強の地の利」を持ちます。NATOの一員でありながらロシアとも通じる「したたか外交」で自国の利益を最大化し、中東最強の支配者、そしてゲートキーパーに押し上げられます。

(3)日本(アジア)
アメリカの傘が絶対的でなくなる中、危険な隣人(中国、北朝鮮、ロシア)に囲まれた日本は、自らの手で国を守ることを選び、軍事的な大国として目覚めることになります。
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第3章:地政学から見た日本の国家戦略
日本は、私たちが望むと望まざるとに関わらず、アジアで再び大国として台頭する状況に追い込まれます。中国やロシアの属国になるか、自ら国を守るかの二択を迫られ、日本は必ず後者を選ぶと予測されています。

日本がこの戦国時代を生き抜き、アジアのリーダーとなるための切り札となる「最強の武器」と、取るべき具体的な国家戦略は以下の通りです。

1.日本の3つの武器
(1)地理: 四方を海に囲まれた海場国家であり、守るべき陸の国境線がないことは、防衛において圧倒的に有利です。

(2)海軍力: 日本の海上自衛隊は、表向きは軍隊ではありませんが、その実力は世界トップクラスであり、アジアにおいて日本の海軍力に対抗できる国はほとんどありません。

(3)高度な技術力: 資源を持たない日本が世界と戦える唯一の武器であり、敵国を凌駕する技術力が日本の生命線です。

2.2030年に向けた3つの国家戦略
(1) シーパワー(海帝国)への回帰
石油や食料の輸入を海に頼る日本にとって、シーレーン(海上交通路)は生命線です。このシーレーンが脅かされれば、日本は一日たりとも生きていけません。 日本は自国の海軍力でこのアジアのシーレーンを防衛する必要があります。日本がアジアの海の安定を担うことこそが、アジアにおける影響力を確保する唯一の道となります。

(2)日米同盟の質の変化への対応
日米同盟は継続しますが、その中身は根本的に変わります。これまでのアメリカが日本を一方的に守る「親子関係」は終わり、アメリカの戦略を助ける対等な「パートナー」としての関係が始まります。 日本はより主体的かつ危険な役割を担うことになり、例えば台湾有事の際には日本が最前線になる可能性をも意味しています。

(3)未来の戦線(宇宙・サイバー空間)への集中投資
未来の戦争はもはや陸や海だけで決まらず、戦線は宇宙とサイバー空間へと移行しています。偵察衛星やミサイル誘導GPSが宇宙で無力化されれば、強力な軍隊も目と耳を奪われます。また、電力、金融、通信などの社会インフラを狙うサイバー攻撃も深刻です。

日本はその高度な技術力を宇宙とサイバーの防衛に集中させることで、アメリカ軍と並ぶ強力なカードを持つことができると予測されています。
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第4章:激動の時代を生き抜く日本人の資産防衛術
国家間の対立が激化する時代は、必ず通貨の対立を引き起こします。円安や世界的なインフレは、地政学的な対立が経済に現れた結果です。

もし日本の国力が相対的に低下し、激しいインフレが起きた場合、あなたが銀行に預けている日本円の貯金はその価値を失っていくかもしれません。これからの時代、自分の資産を日本円というたった1つの籠にだけ入れておくことが、最大のリスクとなるのです。

この戦国時代を生き抜き、自らの資産を守るための具体的かつ実践的な防衛術は以下の3つです。
(1)通貨の分散
日本円だけでなく、基軸通貨であるアメリカドル(USD)やユーロなど、複数の通貨で資産を持つことです。

(2)実物資産を持つこと
特にインフレに強いとされるゴールド(金)です。金はどこの国にも属さない世界共通の価値として数千年の歴史を持ちます。

(3)グローバル投資
日本の国力とあなたの資産を切り離すため、これから成長していく全世界の株式や資産に投資することです。
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まとめ:平和の幻想を捨て、今すぐ行動を
2030年の未来地図は、私たちが「当たり前だと思っていた平和な時代」や「アメリカが守ってくれるという常識」がすでに終わったという厳しい現実を突きつけます。

私たちは、この現実を知性学というレンズを通して直視し、国家も個人も「誰かが守ってくれるという幻想」を捨てて、自らを守る準備を今この瞬間から始める時が来たのです。

フリードマンの予言は決定された未来ではありません。それは私たちに向けられた警告です。未来を変えることができるのは、この未来地図を手にして最悪の事態に備えた者だけです。
その行動とは、世界の情勢を知るための勉強であり、自分の生活を守るための資産防衛です。
未来は、あなたの今日の選択にかかっています。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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