AI導入はまだ早い?いいえ、今日の「+α」が未来のDXに繋がっています。

濱田金男

濱田金男

テーマ:DX化で製造業は変わる!

「DXやAIって、うちみたいな中小企業にはまだ早いよ…」
「品質改善が大切なのは分かるけど、毎日の仕事が忙しくて、とても手が回らない…」

工場の現場で働く皆さんから、そんな声をよく聞きます。確かに、AIによる予知保全や、大規模なデータ解析といった話は、少し遠い未来のことのように聞こえるかもしれません。

しかし、断言します。
未来のDXやAI導入の成否は、実は「今日の現場」で、皆さんが何気なく行っている日々の業務の中にこそ、その種が隠されています。
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大切なのは、完璧な計画や高価なシステムを導入することではありません。いつもの仕事に「ほんの少しだけプラス」する。その小さな一歩こそが、中小企業の品質改善を成功させ、やがてはAIを使いこなす未来への、最も確実な近道なのです。

品質管理の本質は「日々の積み重ね」
そもそも品質管理とは、1年、1か月、1日、そして1時間といった、日々の業務の積み重ねそのものです。

特に、私たち中小企業の現場は、限られたリソース、多忙なスケジュール、人手不足という現実の中で戦っています。だからこそ、理想論を追い求めるのではなく、「できることから始める」という現実的な視点が何よりも重要になります。

この記事では、明日からすぐに試せる「いつもの仕事+α」の具体的なアイデアと、その小さな一歩が、なぜ未来のDXやAI活用に繋がっていくのかを解説します。

まずはここから!明日からできる「いつもの仕事+α」3選
難しいことは一つもありません。「これならできそう!」と思えるものを、一つ試してみてください。

1. プラス1枚の写真:「なぜ?」の代わりに撮る習慣
不良品が出た時、あるいはヒヤリハットがあった時。原因を文章で記録するのは大変ですよね。そこで、スマートフォンで写真を1枚撮るだけ、というルールから始めてみましょう。

何を撮るか?:発生した不良品、その時の設備の状態、ヒヤリとした現場など。
どんな効果が?:言葉よりも状況が一目瞭然で伝わり、情報共有が簡単になります。

そして、これが未来に繋がります。この写真の蓄積こそが、将来AIで外観検査をしたり、不良発生の傾向を分析したりするための、何物にも代えがたい「教師データ」になるのです。

2. プラス5分の会話:「井戸端会議」でプチなぜなぜ分析
「なぜなぜ分析」というと、会議室で行う堅苦しいイメージがあるかもしれません。最初は、現場で関係者と5分だけ立ち話をするだけで十分です。

どうやるか?:「なんでこうなったんだろうね?」と、その場で気軽に話してみる。
どんな効果が?:現場の生の声から、本質的な原因が見えやすくなります。「なぜ?」と考えることが、特別な活動ではなく日常の習慣になります。

この「考える文化」こそが、将来AIが出した分析結果を鵜呑みにせず、「なぜこの結果が出たのか」と解釈し、具体的な改善アクションに繋げる人材を育てます。

3. プラスの共有:「4M変化点ボード」で予兆を捉える
「4M(人・機械・材料・方法)」の変化点に気づくことは、トラブルを未然に防ぐ鍵です。朝礼の際に「今日、いつもと違うことはありますか?」と問いかけ、共有ボードに書き出してみましょう。

何を共有するか?:「今日はAさんが休みでBさんが担当」「機械の音が少し変」など、ささいな変化点。
どんな効果が?:「漠然とした不安」が「具体的な注意点」に変わり、チーム全体の感度が高まります。

これは、AIによる「予知保全」の考え方の第一歩です。「いつもと違う」というデータ(情報)を基に、未来のリスクを予測し、事前に行動する。その基礎的な訓練を、チーム全員で行うことに繋がります。

「+α」の積み重ねが、AIを動かす「土台」になる
なぜ、これらの地道な活動がDXやAIに繋がるのでしょうか。それは、AIが魔法の杖ではないからです。AIの能力を最大限に引き出すには、良質な「データ」と、それを活用する「文化」という、しっかりとした土台が不可欠なのです。

今日の「記録」が、未来の「データ」になる
スマホの写真、ホワイトボードの付箋、共有ボードの変化点。これらはすべて、未来のAIが学習するための貴重な「生きたデータ」です。データを集める仕組みを今から作っておくことが、数年後の大きな差になります。

今日の「習慣」が、未来の「企業文化」になる
「なぜ?」と考える習慣、変化に気づく感性、チームで情報を共有する文化。こうした土壌があって初めて、AIが出した分析結果という「種」から、品質向上という「果実」を実らせることができるのです。

AIの世界には「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」という言葉があります。日々の改善活動を通じて現場を磨き、質の高いデータを生み出す文化を育むこと。それこそが、どんな高価なシステムを導入するよりも確実な、DX成功への道筋です。

DXやAIは、遠い未来の目標ではありません。
今日あなたが撮った一枚の写真、仲間と交わした5分の会話が、確実にその未来へと繋がっています。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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